第16話
「どうですか? 気持ちイイですかね ??」
しびれを、きらせてきたあたし。
これだけ、体を密着しているのに誘って来ないのは問題ありね。
「きょうかさんマッサージ得意なんですね」
なんだか、ただマッサージが得意な人ってことで終わりそうだね。
マズいな。
「上手いのは マッサージだけじゃあないですよ? あたし」
それ以上、言いそうになっているんだけど、
「そうですか
それは また今度」
完全に、かわす男。
あまり、深い関係を望んでないのかなぁ。
「次も 指名してもらえますか ??」
「もちろん指名します」
「ヤッタ」
男に、またがったまま小さく跳ねるあたし。
ガラッ
不意に、ふすまが開いて女の子と目が合う。
「あっ」
目が、点になる女。
「うわっ」
なんだ、二人きりじゃあないじゃないの。
「ちょっと おにいちゃん! バイトから帰ってみれば」
大声を、出して怒り出す妹。
「待て
なにもやってない !!」
身の、潔白を証明しようとする男。
「あらぁ
妹ちゃんなの?」
ビックリした。
カノジョとかなら、修羅場でしょこんなの。
「はい
とりま 腰を振っているのを止めてもらえませんか !?」
あーうん、特に止める理由もなかったからね深い理由はないけど。
「あー そうね
別に変なことをしていたわけじゃあないのよ」
まぁ、しようとはしてないとやぶさかでもないんだけどね。
「どーだか」
めちゃめちゃ、疑いの目を向けて来る。
「まぁ とりあえず説明を聞け」
説明後。
「うわー
誤解して ゴメンなさい」
平謝りの妹。
「イイのよ全然」
余裕ぶってみるあたし。
「おにいちゃん 体が固いでしょう ??」
ヨガインストラクターに、同情する妹。
「そうね
だいぶ 固いから鍛え甲斐がありそうよ」
チカラこぶを、作って見せるあたし。
「よろしくお願いします先生」
「あはっ
まかせといてよ」
胸を、叩いてみせる。
「たのもしいなぁ
あっ そうだ」
「どうしたの ??」
「おにいちゃん お茶を出してないじゃん !!」
気がきく妹ちゃん。
「いえ おかまいなく」
「いえいえ
ちゃんとしてよ おにいちゃん」
「お
おう たのんだ」
なんだか、尻に敷かれてない?
「それじゃあ もう少しヨガを」
と、あたしが言うと、
「いえ 今日はもう大丈夫です」
もう、満足したみたい。
妹の前では、恥ずかしいのかもね。
「そうですか
わかりました」
それから、お茶を飲みながら少し談笑して時間となってしまったので、
「それでは そろそろ帰りますね」
ソファーから、立ち上がる。
「はい 今日はありがとうございました
きょうかさん」
「いえ それでは」
「はい」
ドアが、閉まる瞬間に順也はニヤリと笑った。
「そう言えば なんであたしの名前を知ってたんだ? あっ最初言ったのか」
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