第13話

「あっ

あっあっあっ」


 VRゴーグルを装着して、ベッドに横たわり大声を出しているあたし。


「おい きょうか」


 旦那が、ベッドルームで呼ぶ。


「ヤバいって

間合いをとって」


 全然、気が付いていないあたし。

 完全に、ゲームに集中している。


「おい !!」


 大きめの、声を出す旦那。


「そう だいぶ削れてるハズよ」


 とにかく、サラが強い。

 デスマッチの1回戦目は、毒ガスの安全地帯までたどり着いてなんとか辛勝したが相手がしつこくデスマに誘って来て2回戦目は負けてしまった。

 そうしたら、お互いのパーティーが引っ込みがつかなくなって夕方までやってしまって、


「起きろ」


 強引に、VRゴーグルを引き剥がす旦那。


「わーーーーーっ」


 ビックリするじゃあないの。


「わーっじゃあない

1日じゅうやっていたのか ??」


 あきれ声を出す旦那。


「あっ ごめんなさい

トイレトイレ !!」


 昼過ぎに、行ったっきりよ。


「しょうがないヤツだなおい」


 肩を、すくめる旦那。


「ふぅ」


 あースッキリ。

 お腹すいたなぁ。


「メッセしても出ないし

のめりこみすぎじゃあないか」


 なんか、説教みたいに言う旦那。


「あっ メッセくれてたんだ」


 サラッと、流すように言うあたし。


「今日は これから会合があるから食事は出前でもとって食べるようにって」


 旦那は、議員たちと一緒に晩御飯を食べるみたい。


「あっ 了解」


 まぁ、いつものことだし別にイイけどね。


「全く 電話にも出ないしどういう育ち方をしたんだか

議員の仕事が忙しすぎて娘にかまっていなかったんだな」


 あたしの、パパの悪口を言いはじめる。

 いつもの、パターンね。


「う~ん」


 まぁ、反論することも出来ないんだけどね。


「まぁイイや

物騒だから ブスッと刺されているかと思ったが無事でよかったよ

それじゃあ時間が無いから出る」


 不穏なことを、言い残して急いで出かける旦那。


「いってらっしゃい」


 あー、やっと出て行ったわー。


「ああ」


 ドアが、閉まる間際に返事する旦那。


「ふぅ

あっ もうこんな時間だわ

あたしも ヨガインストラクターの仕事に行かなくちゃ」


 時間を、確認してビクッとなるあたし。

 急いで、全身を着替えて家を出る。

 タクシーに乗って目的地まで行く。


「この一軒家ね」


 隣家が、迫って広い敷地面積じゃあないけど都内で新しめの3階建ての家だね。


ピポポピポポ


 チャイムを鳴らすと、かわいらしい音が響く。


「ごめんくださーい」


 あたしが、外でそう言うと家の中からドタドタ走る音がしてドアが開く。


「どうも こんばんは」


 なんか、若くてイケメンの男がネズミ色のジャージの上着と紺色のハーフパンツ姿で出迎える。


「こんばんは

坂井さんのお宅でしょうか ??」


 一応、確認しないとね。


「はい

もしかしてインストラクターさん ??」

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