第11話

「ギャーァ」


 断末魔の声が、洞窟にこだまする。


「誰か 食べられたんじゃない ??」


 立ち止まって、振り返るあたし。


「あぁ そうかも知れないが立ち止まるな」


 みんな、あたしの持っているステッキの光がたよりだから動きがストップする。


「そうね」


 向き直り、ゆっくりと歩きだす。


「あたいが いけないんだ

あたいが せきゴホッゴホッ」


 責任を、感じて反省するナージャ彡。


「なーじゃみさんのせいじゃあないよ

あたしが アッって言っちゃったから気付かれたんだよたぶん」


 見捨てたりしない。


「誰が犯人とか どうでもイイから気にするな」


 落ち込まないように、元気付けるアーバイン。


「みんな………

ありがとう」


 少し、涙声になるナージャ彡。

 プレーヤー姿は、しきりにバンザイしている。


「よし 出口の光りは 見えてる

もう少しだ」


 かすかに、光の点が見えているよ。


「はい」


 ちょっと、顔がほころぶあたし。


「よーし 出たぞ」


 小さな点だった光が、大きくなり光線の帯に包まれ、まぶしさで目を覆うあたし。


「みんな無事ね

奇跡的だわ」


 6人とも、欠けずにダンジョンをクリアしてホッと胸を撫で下ろすわよ。


「よし 次の街で補給しよう」


 草原の向こう、アーバインが指差す方向に街がある。


「了解」


ドゴーン


 いきなり、背後から爆発音がして土煙が上がる。


「わっ 逃げろ」


 洞窟のある山じゃない方向に、敵がいるのが見える。


「ぎゃあーーー

ゲホゲホ」


「みんな 早く

走って」


 一目散に、走って距離をとる。


「ちょスタミナがっ

水分量ゲージが底だから」


 このゲームは、水分量の概念がある。

 当然、それを気にしながら走る必要があるのよ。


「泣き言を言っている場合か」


 肩を、落としアンデッドのようだね。


「だめだ 連打しても走らねえ」


その一方


「ヤツら どうやってこっちまで来たのでしょう」


 ファイアボールを、撃ちながらふと疑問をクチにする魔法使い。


「さぁ わからぬが とにかくキルするぞ

車は ??」


 キョロキョロするサーチェーン。


「えっ 山登りに邪魔だからって街に置いて来たでしょう」


 つっこむ魔法使い。


「まずいな」


 草原を、走るキョウカたちをボンヤリと見るサーチェーン。


「ですね」


 射程範囲外になり、ファイアボールを撃つのをやめる魔法使い。


「ということは 走って追いかけるのか」


 あたり前のことを言うサーチェーン。


「はい そうなりますね」


 2回、うなずく魔法使い。


「おい 急ぐぞ」


 あわてて、走り出すサーチェーン。


「はっ」


「おい みんな 走るぞ !!」


その頃


「み………

水は どこだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る