第10話
「あっ ヤバい………」
アンデッドを、ボリボリ食べていたモンスターが、振り返る。
周囲の、松明に照らされた顔を見ると、
「えっ
顔がない」
のっぺらぼうのモンスターである。
おそらく、顔のテクスチャーを張り忘れているであろう怪物の、クチのあたりから血が滴っている。
「は………
走れっ !!」
アーバインの、一声で狭い洞窟を逆戻りするパーティーメンバー。
「なんか
一撃も喰らわさないで撤退するのもなんだなぁ」
なんだか、せっかく遭遇したモンスターに一太刀も浴びせられないなんてもったいないなぁ。
「狂華様とすれば ポリシーに引っ掛かるか ??」
半笑いのアーバイン。
「そんなポリシーとか大それたモノじゃあないけどね」
舌を出して笑う。
「そうな」
その頃
「こんなところに 洞窟がありますよ」
丘から、町まで進んで森を捜索したが一向に見つからない。
山を登るところを、ファイアボールで狙い撃ちする気だったサーチェーンたちは神隠しのように消えたので、肩透かしを喰った形となる。
「そうだな
我々が通過したあとで 森へ逃げる算段か」
一時的に、隠れるにはちょうどおあつらえ向きな穴に、そんな予想をする。
「どうしましょう ??」
町は、毒ガスに被われている。
この森にも、じきに来る。
「2名で 洞窟内の探索 見つけ次第キルする
おそらく5分ほどでここも毒ガスに被われるから脱出するように」
安全策を、とるサーチェーン。
「はいっ」
「残りの者は 山登りするぞ」
「ラジャ」
「散開」
「はっ」
洞窟探検組の二人が、サーチェーンに駆け寄る。
「すぐ あとから追い付きます」
1人が、そう言うと、
「あぁ 頼んだぞ」
そう言って、肩を叩くサーチェーン。
「さーてと ザッと見てみますか」
洞窟内を、見つめる男。
「そうですね
山を登っているようには見えなかったので案外アタリかも知れないっすよ」
ニヤリと、笑う男。
「ハハハ まさか」
その頃
「わわわわ」
一応、ファイヤーボールをのっぺらぼうモンスターにぶつけてみたがビクリともしない。
こんなのを、相手していたら毒ガスでオダブツだわ。
「よし もう少しで分岐点だ」
あと、ちょっとのところで、
「待って」
なにかが、チラッと見える。
「なんだ」
走りながら、振り返るアーバイン。
「正面に 明かりが見える」
完全に、誰かいる。
味方なわけがないので、確実に敵だね。
「クソッ
もう少し」
あと3歩ほどで、分岐点ね。
「よし ここっ」
抜けると、敵と鉢合わせになる。
「あーっ
お前ら やっぱり居たな」
こちら側へと、走り寄って来る。
「ヤベぇ」
もう1つの穴に、突入するあたし達。
「待てよ!」
今度は、敵がモンスターと鉢合わせになる。
「ガウル………」
ターゲットを、変えるモンスター。
「えっ なにこのモンスター」
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