第9話
「痛い
痛い痛い痛ぁぁい」
魔法のステッキを、光らせてダンジョンを進むけど地味にダメージが来てるのよ。
でも、ステッキがあってよかった。
無いと、真っ暗だもんね。
「追い込まれた状況とはいえ こんなところに入るもんじゃあないな」
泣き言を、吐露するアーバイン。
「仕方ないじゃあないですか」
ターザニムちゃんが、フォローしてくれる。
「とにかく こいつら大したものをドロップしないんだからやり合わずに走り抜けよう」
ウザ絡みするモンスターを、剣で倒すのが面倒になるアーバイン。
「さんせー」
「異議なし」
そうして、しばらく進むと、
「なにこれ」
ビックリするあたし。
「おい どうした ??」
真後ろから、アーバインが聞いて来る。
「道が 二股に別れてる………」
誰が見てもわかることを、クチにするあたし。
「どうした? ルートは分かっているんだよな ??」
やっぱり、そう聞かれると思ったよ。
「前に来た時は ほぼほぼ一本道だったんだよ」
そう、プログラムを変えたみたいね。
「って言うと なにか
イベントが追加されている可能性があるってことか ??」
身構えるアーバイン。
「そうかもね」
ヒンヤリとする洞窟内の空気で、緊張の糸が張りつめて思わず舌を出すあたし。
「ヤツらも そろそろおれ達が居ないことに気付いているだろうから引き返せないぞ」
引くに引けない状況に、変わりない。
「わかってるって
とりあえずどっちかに入れば答えが出るでしょ」
迷っている時間が、もったいないよね。
「あぁ そうだな
どっちにしても 急いだ方がイイな」
腕組みするアーバイン。
「右と左 どっちにする ??」
みんなに、聞いてみるあたし。
「とりあえず 右
行き止まりなら左に行こう」
アーバインが、そう言うのでみんなうなずく。
「よし 決まりね」
「ゲホゲホッ
急ごうね」
「そうよね」
しばらく進むと、洞窟が少し広くなってきて圧迫感はやわらいだのだが、
「待って」
みんなを、止めて姿勢を低くするようにジェスチャーするあたし。
「今度は どうした ??」
「なにか 聞こえる」
肉が、引きちぎられ骨が噛み砕かれる音が奥から響いて来る。
「ちょっと 見てヤバそうなヤツなら引き返すしかないな」
「そうよね
そーっと」
そこには、たくさんのアンデッドを吊し上げて1体づつ食べている人型のモンスターの姿がある。
幸いなことに、向こうを向いているのでこちらには気付いていない。
「ヤバそうだ
引き返そうぜ」
アーバインが、小声で言う。
「わかったわ」
手で、戻るように指示するあたしだけど、
「ゲホッゲホッゲホッ」
大音量で、洞窟内に響く。
「あっ」
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