第8話

「アハッ

みんな無事みたいね」


 思い切り、舌を出すあたし。


「それはイイが ここは3方を山に囲まれたところだから 袋のネズミだぞ

下手に 山登りしてると格好の的だし

かと言って正面からぶつかるにはアイテムが心もとない」


 状況を、分析して悲嘆するアーバイン。


「泣き言を言っても はじまらないでしょ

このマップに見覚えがあるわ」


 前に、ナメプで色々探検して回ってだいたいの地形は覚えている。


「なにか この現状を打開する策があるのか」


 少々、オロオロしているアーバイン。

 面白いな。


「ええ

この先に 古い坑道がある」


 断言しているけど、たぶんね。


「それで ??」


 身を、乗り出すアーバイン。


「中は ダンジョンになっていて別の出口へと つながっているの」


 仲間だから、特別におしえる。

 デスマで、好き好んで洞窟に入るような酔狂な人はあたしぐらいでしょうね。


「つまり ダンジョンを攻略すれば助かるわけだな」


 ポンと、手をうつアーバイン。


「そう

でも 問題が1つあるわ」


 唯一で最大の問題点。


「それは 一体なんなんだ ??」


 目を、見開くアーバイン。


「それは 低レベルモンスターの巣窟になっているってことなんだけど」


 エンカウントが、半端ないのよ。

 特に、ドブネズミを一回り大きくしたようなモンスターは仲間を呼びまくる。


「なんだって? でも他に道がない以上ダンジョンに突入するしかないな」


 もう、それしか方法はない。


「そうよね

地味に HPが削られる分には 回復魔法でなんとかなるし」


 背に腹は、代えられない。


「よし その案でいこう

案内してくれ」


 素早く、判断するアーバイン。


「オーケー

こっちよ」


 あたしの後ろを、ゾロゾロと小走りに付いてくるみんな。


「たしか この辺に………

あったよ」


 切り立った山肌に、ポッカリと穴が開いている。


「ホントだ

全然 気がつかなかった」


 普通に、プレイしている時には気付きにくいところなのよね。


「よし 入るよ」


 ダンジョンに、足を踏み入れるあたし。


「おう」


その頃


「サーチェーン様 ヤツら出て来ませんね」


 魔法使いの男が、そうつぶやくと、


「こちら側は もうじき毒ガスエリアとなる

それを待っているのやも知れぬ」


 多少、あせりの色が浮かぶサーチェーン。


「混乱に 乗じて攻めて来ると ??」


 苦笑いする魔法使い。


「おそらくな」


 なだらかな丘から、集落を見下ろすサーチェーン。


「大変です !!」


 一人の男が、走り寄って片ヒザをついてしゃがむ。


「どうした そんなにあわてて ??」


 その男には、相手の動向を探るように言い付けてあった。


「森に 行ってみたら 人の気配が無いんです」


 人影が消えた森に行くと、もぬけの殻だ。


「なんだと?」

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