第5話

「ところでさ

カピバラフレンズの最新話見た ??」


 デスマッチの、カウントダウンが進む中で実に緊張感のない話題を振ってみるあたしなんだけどね。


「あぁ ロブスターが空を飛びたくてイロイロやるってヤツだったな」


 半笑いで、うつ向くアーバイン。

 肩が、プルプル上下している。


「そうそう」


 ウンウンと、うなずくあたし。


「なんか リアル世界でもそんなプロジェクトが あるみたいだな」


 ナージャ彡さんが、クシャミしながら答える。

 どこかの、観光の目玉にするらしい。


「へぇー そうなんだ

なーじゃみさん 詳しいね」


 彼女は、花粉症と言っているが病弱な人だ。

 そんな、雑談をしていると登録が終わって6対6という同数で戦うことになる。

 どうやら、6人も恨みがある人がいるんだねぇ。

 実際は、もっといるだろうけどね。


「よし 時間だ

手前の住宅街は あきらめて 奥の住宅街に行こう !!」


 作戦を、伝えるアーバイン。


「了解」


ブーーーーン


 場面が、切り替わりキングサーモスという名前の飛行船に乗っている。

 火の鳥を、かたどった金色のボディの翼には左右1対にプロペラが付いており、轟音をたてながらデスマッチエリア上空を翔る。

 眼下の建物が、豆つぶのようだね。


「最後って RPG7の先っちょにロブスターを 結び付けてって話だったよね」


 みんな、視聴者は無理があるだろうと思っていたら無理があった。


「うん プスプス~って黒焦げになったな」


 腹を、かかえて笑っているアーバイン。


「アハッ」


「よし そろそろ出るぞ」


 目的地の、上空へとさしかかりアーバインが指示を出す。


「はーい 了解」


 キングサーモスからタイミングをあわせて飛び出すあたし達なんだけどラグいナージャ彡さんはちょっと遅れちゃったなぁ。

 パラグライダーを、開いて住宅街を目指す。


「よーし アイテムアイテム」


 このデスマッチは、マップの周囲から毒ガスのエリアが、せまって来る中で最後の1人に生き残れば勝ちという簡単なものなのよ。


「さーて 暴れちゃいますよ~」


 2階建ての、住宅のベランダに着地すると他人の家の中に入り宝箱を開けてさっそくポーションをゲットするあたし。


「ノーマルポーションかぁ」


 部屋を出て、次の部屋へと入るとどうやら子供部屋だね。


「旦那とは SMプレイだけで まだアレやってないのよね~」


 結婚して、ずっとレスという絶対にあり得ない状態が続いている。

 そんなことを、学習デスクをボンヤリと見ながら考えていると、


『おーい そろそろ集まろう』


 アーバインが、指示する。


「あっ はーい」

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