第2話

「ウワッ」


 修理工場の前で、井戸端会議をしている時にマップ上で接近中のプレイヤーをみとめてそちらの方をチラッと見るんだけど、


「ヤバい」


 巨大な、ファイアボールがこちらに向けて飛んで来ている。


「みんな よけて」


 爆炎に、包まれるフェラーリ。

 その爆発に、巻き込まれて焼け死んでしまったあたしなんだけど、


「あー ビックリした~」


 死んだところから、走って1分ほどの道路沿いのところにパッとリスポーンする。


「なにここ

どこまで 飛ばされたんだ ??」


ヴィーヴィー


 スマートフォンが鳴り、自宅の駐車場にフェラーリが届けられたとメッセが表示される。


「よし

あーぁ 歩くのメンドイから 誰か迎えに来てくれないかなぁ~」


シュッ


 その時、目の前にこぶし大の石が横切る。


「なんだ」


 目線の先に、短い棒を持ち周囲に石を浮かせた男が立っている。

 黒い、トンガリ帽子を被っているところを見るに魔法使いのようだね。


「ふーん イイ度胸だよねぇ」


 プレイヤーネームを、見ていないのかあるいは知っての犯行かわからないけどね。


「でやっ」


ドドドドッ


 男が、短い棒を前に振ると無数の石つぶてがあたしに向かって飛んで来る。


「ふぅ

ねえ ターザニムちゃん」


 それら石を、かわしながらフレンドと連絡をとってみる。


『なんですか ??』


 ターザニムちゃんの、呼吸が荒い。


「今 PKされそうだけど

そっちどうよ」


 現状確認をしなきゃだしなぁ。


『こっちも 同じく

めっちゃファイヤボールを撃たれてる』


 どうやら、タチの悪いグループに絡まれてるね。

 はぁぁウザいなぁ。


「あー

こっちは 物体を浮かせて飛ばして来るよ」


 今のところ、抜刀しなくても避けることが出来るんだけど1つ確認しなくちゃいけないのよ。


『そっちも 厄介だね

アチチ』


 炎に、包まれるターザニム。


「それはそうと

今 配信してるの ??」


 1番の懸念は、それなのよね。


『もちろん 配信してますよ』


 当然と、答えるターザニム。


「だよね

生配信してるなら PKは 控えようかなぁ」


 生放送を、切り抜かれてまた垢バンとかになるのは勘弁して欲しいの。


『いや 言ってる場合じゃあないっしょ

わたしは バンバン殺ってるよ !!』


 あなたの性格なら、放送されてようがやるでしょうとも。


「だよね

あいつら 遠距離攻撃しかして来ないチキンだしなぁ」


 ターザニムちゃんは、魔法使いではないがある程度の攻撃魔法は使える。


『キョウカちゃんは 僧侶でしょ

攻撃系の魔法は 覚えているっけ ??』


 逆に、心配されちゃうあたしだけど、


「あー

大丈夫だよ 村正持ってるから」


 ビックリするぐらいの切れ味なのよ。


『あーなる

さすがっすねぇ~』


 なにか、妙に納得されてしまってないかなぁ。


「ターザニムさん どういう意味で ??」

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