第6話 冒険者登録



 そう言うと女性の受付嬢は俺を奥の部屋へと案内してくれる。


 こういう時やはり公爵家という肩書は便利だと改めて思う。


 そして案内された部屋へ入り、受付嬢が出してくれた菓子とお茶を嗜みながら数分待っているとギルドマスターである髭を蓄えた大男と秘書の女性がノックをした後に入ってくる。


「お初にお目にかかります。私はここのギルドマスターをしておりますダガン、こちらは私の秘書であるイザベラでございます。それで……わざわざクヴィスト家の長男であるカイザル様が冒険者登録をしに我がギルドへお越しになっているとの事ですが、間違いないでしょうか?」

「……我がご主人様を信用できないと?」

「よせ、メリッサ」

「……申し訳ございません」


 忠誠心が高いのは良いのだが、偶に感情のまま相手に突っかかる時があるのでそこを自制できるようになればとは思うものの、それを言って治るような女ではないので既に諦めている。


 そもそもの話、俺に忠誠を誓っているのであれば、それだけで十分というのもある。


「それで、先ほどのギルドマスターの話だが、ここへ冒険者登録をしに来た事で間違いない」

「…………ふむ」


 俺がそう言うと、ギルドマスターは俺の目を真っ直ぐ見た後小さく頷く。


「どうやら嘘を言っているようには見えませんね」

「嘘を言ってどうなる?」

「ははははっ!! それもそうだっ!! いやぁ、失礼しました。それでは冒険者登録をさせていただきますのでこちらの書類三枚に記載されております項目全てに回答していただきますようお手数をおかけしますがお願いいたします」


 そしてギルドマスターから渡された書類三枚に記載されている項目全てに回答い終え、ギルドマスターへと渡す。


「ふむ……。問題ないようですね。では冒険者登録をさせていただきますので血液を少し頂いてもよろしいでしょうか」

「かまわない」

「ありがとうございます」


 ギルドマスターから渡されたナイフを使って指を切り、血液を用意された器へと垂らす。


 するとギルドマスターは一枚のカードへスポイトを使って俺の血液を垂らすと、血液中にある俺の魔力に反応してカードが数秒間だけ青白く光り輝く。


「これでカイザル様の冒険者登録は完了いたしました。では、既にご存じかとは思いますが冒険者ギルドのルールを説明させていただきます」


そしてギルドマスターが一つ一つ冒険者及び冒険者ギルドについて説明していくのだが基本的な内容は『一定の仕事をこなせば冒険者ランクは上がる』『上の冒険者ランクの仕事はできない』『下のランクの仕事で得たポイントでは冒険者ランクを上げる事はできない』という事のようだ。

 

 

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