第5話 あぁ、楽しみだ



 それで金銭と名誉がもらえるのだから、これほど美味しい話はないだろう。


 前世で偽善者たちは『命は平等だ』だのなんだのとか抜かしていたのだが、殺せば悪として評価される命もあれば、殺せば正義として賞賛される命もあるのだから平等であるわけが無い。


 ちなみにこういった賊や賞金首の討伐依頼であるのだが、当然冒険者ランクが高くなければ受ける事はできないのだが、そんなものはどうでも良い。


 そもそも報酬が欲しいのではなくメインは人を殺したいのだから、賊や賞金首の情報さえ手に入れば良い訳で、後は出没する場所まで行きエンカウントすれば良いだけなのである。


 依頼は受ける事ができないのだが正当防衛までは当然禁止されていない。


 そして、そんな俺の為にあるような冒険者ギルドへの登録可能年齢が十五歳なのである。


「……かしこまりました。ちなみに冒険者ギルドへはどういった用事で行かれるのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「なに、ただ単に十五歳になったから冒険者ギルドへ登録をしてくるだけだ」

「……なるほど、ご主人様もそう言った職業に憧れる年頃という訳ですね」


 すこしズレている気がするのだが、あながち間違いでは無いので否定する必要もないだろう。


 そして俺は準備を済ませると、両親と一緒に朝食を取り、そのままメリッサを連れて冒険者ギルドへと向かう。

 

 公爵家の長男である俺が、その両親が治めている領地にある街にいくのだ。


 当然公爵家の家紋が入った無駄に豪華な馬車で街まで行かされる。


 初めこそは恥ずかしいと思い親に抗議したのだが、無駄だと悟りもう諦めている。


 それにこの馬車に乗っているのは間違いなく公爵家の関係者である為、誰も喧嘩を売ってこないという利点もあり、その点に関しては普通にありがたい。


 もしこの俺に喧嘩を売って来るような奴がいたら、俺は間違いなく我慢できずに殺してしまっていただろう。


 そうなると今まで我慢してきた分、タガが外れてしまい子供の成熟しきっていない状態では勝てない相手に挑んでこっちが死んでいた可能性も考えられたためそういう面では馬車で移動する事に関しては感謝している。


 しかしながら今の俺であれば強者、それこそ前世の俺レベルであろうとも問題なく殺せる事ができるだろう。


 あぁ、楽しみだ。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご依頼でしょうか」


 そんな事を思いながら俺は冒険者ギルドの受付へと向かう。


「冒険者登録をしたいのだが、大丈夫か?」

「かしこまりました。冒険者登録ですね」

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