第4話 人を殺したい人の為の施設

 今からこの力を俺の好きな事の為に行使できるのだと思っただけで興奮を抑えきれない自分がいる。


 十五年間も我慢し、同じ轍は踏むものかと修練して来たのだ。


 そろそろ行動に移しても良いころだろう。


 そんな事を思っていると、部屋の扉が三回ノックされたので入室を許可する。


「おはようございます。ご主人様は今日もお早いですね。少しは私に起こされても良いんですよ? もしくは一緒に寝ても良いんですが……」


 そして入って来たのは俺専属として就けられているメイドであるメリッサである。


 ちなみにメリッサはスラム街で俺が拾った孤児である為家名は無い。


「冗談はよせ。どうせ親から色々言われたのだろうが無視しても良いと言っているだろう?」

「…………冗談ではないのですが」

「何か言ったか?」

「いえ、何も」


 しかしながら、いくら俺が思春期に入ったからと言って幼少期から飼っているペットに性欲を処理させようとする親の気持ちが一ミリも理解できないのでいい加減どうにかして欲しいところである。

 

 それでも公爵家としの領地経営や貴族としての立ち回りは上手いようで領民には慕われ、金銭的にも常に潤っている状態をキープしている両親はこれからも俺の為に稼いでもらいたい。


 もし逆に使えない両親であった場合とっくに殺していただろう。


「まぁいい。メリッサ、今日は冒険者ギルドに行くぞ。ついてこい」

「はい、ご主人様」


 しかしながらメリッサは孤児である頃に俺に拾われた事を恩義に感じているのか忠誠心が異様に高い。

 

 その為俺が許可しない事は絶対してこないので、俺の性欲処理にと考えていたであろう両親の目論見は外れてしまっていると言えよう。


 そんな事はさておき、冒険者ギルドである。


 この世界に来て十五年。


 そしてそれはこの世界で俺が人を殺せていない年数にもなる訳で、正直な話人を殺したい衝動を我慢するのがそろそろ限界だという事である。


 かといって前世のように何も考えずに人を殺しては、前世と同じように生きづらくなるだけだろう。


 ではどうすれば良いのか? その答えは考えるまでもなく直ぐにでた。


 まず冒険者ギルドに登録する。 


 これで終わりである。


 とういうのも冒険者ギルドには薬草の採取から魔物の討伐まで幅広い依頼があるのだが、その中には賊の討伐依頼は勿論賞金首の討伐依頼も当然ある訳で。


 その依頼にはどこに賊が出没しているのか、どんな賞金首であるのかなど殺すべき対象の情報までご丁寧に記載されているため、まさに人を殺したい人の為の施設でもあると言えよう。


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