第7話 薬草の採取依頼


 その他にも揉め事が起きた際や、決闘、パーティーについて、また身分証としての役割など細々とした規約はあるもののこの三項目さえ頭に入れていれば冒険者として仕事をこなしていく上では問題ないだろう。


 ちなみに俺は他人に俺の実力をまだ・・しられる訳にはいかないので当面パーティーを組むことは無いし万が一組むことがあったとしてもメリッサとしか組まないだろう。


 そもそもメリッサは俺が拾ったペットであり専属メイドである為、常に共に行動しているためパーティーを組む必要性があまり感じられないというのもある。


 身分証に関しては公爵家という肩書がある時点で、あまり必要性は無いだろう。


 前世で言うならば運転免許証がある状態で学生証を取得するようなものである。ちなみにこの身分証目当てで冒険者登録をする者も少なくない。


 そして俺はギルドマスターであるダガンから冒険者カードを受け取ると早速受付カウンターへと向かい依頼内容が記載されているファイルを見せてもらう。


 そこには冒険者ランクF~Aランクの依頼があり、その中から自分のランクに合う依頼を選ぶという流れである。


 そして今現在俺の冒険者ランクはFである為できる仕事は基本的に薬草採取や街のゴミ拾い等しかないのだが、当然そんなものには目もくれずAランクの依頼の中から殺しても良い人間がいないか確認していく。


 ちなみにSランクからSSSランクの依頼はこのファイルには無く、別途専用の部屋にあるファイルに纏められている。


「では、この薬草採取の依頼を受けさせてもらおうか」

「Fランクの薬草採取ですね。かしこまりました。頑張ってください」


 しかしながら高ランク冒険者であるのならばいざ知らず、薬草採取かゴミ拾いくらいしか選択肢が無い低ランク冒険者である俺がファイルを確認して何も依頼を受けないまま冒険者ギルドを出るのも不自然である為、薬草の採取依頼を受ける事にした。


「……ご主人様が薬草採取かゴミ拾いしか受けられる依頼が無いとは…………抗議してご主人様に相応しい依頼がある冒険者ランクまで上げて貰うように今からギルドマスターへ抗議しに行きましょうか?」

「大丈夫だそこまでする必要は無い。 それに領主の息子がその肩書を利用して冒険者ランクを不正に上げた事が噂として広まってしまった場合は両親に迷惑がかかる」

「……かしこまりました」


 メリッサからすれば自分が仕える主人の仕事が薬草採取とゴミ拾いしかないという事実が耐えられなかったようなのだが、正直言って人殺しをするにあたって目立ちたくない俺からすれば有難迷惑でしかないのでそれっぽい理由をつけてメリッサを止める。

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