第42話

 クリスマスを終えて1週間が経ち、朝から俺たちは大掃除を行なっていた。


 「雷珠、そっちはどう?」


 「おう、あと少しで終わるぞ!ご主人の方はどうなんだ?」


 「まだもうちょっと掛かりそう。」


 自室の大掃除を子供姿の雷珠と協力して行なっていると、「うにゃ〜ん!」とクロノワールが部屋のドアを器用に開けて入ってきた。


 「クロ助、邪魔するなよ。」


 「にゃふん。」


 クロノワールが雷珠を一瞥すると、後ろ足で身体を掻いて毛を撒き散らす。


 「おい!」


 「にゃ!」


 ペシッと雷珠がクロノワールの背中を叩こうとするが、クロノワールは妖力を用いて防御すると短く鳴いた。


 「コイツ!」


 「にゃにゃん!」


 お互いに睨み合いながら妖力を同じくらい纏い出すと、クロノワールに雷珠が抱き抱えようと仕掛ける。


 そんな雷珠とクロノワールの1人と1匹が部屋の中で暴れ回るせいで、部屋の中は埃や猫毛が舞うなかで、俺は暴れている雷珠とクロノワール対策に空間保存壺の整理や掃除を行なっている葉月を呼び戻した。


 そうして呼び戻した葉月が雷珠とクロノワールを諌めると、掃除の邪魔にあるクロノワールは葉月によって部屋の外に追放される。


 「全くクロ助のやつは!」


 「落ち着きなよ、雷珠。」


 プンプンと怒っている雷珠が落ち着くまでの間、俺は子供サイズまで小さくなった雷珠を落ち着くまで抱き抱えて生体エネルギーを直接流して送る。


 「んっ、はぅ……。」


 気持ちを落ち着く様な感情をしながら送られた生体エネルギーを送られて、雷珠が気持ち良さそうな表情をしながら声を漏らす。


 そうして気持ちが落ち着いた雷珠がもう言いと言うまでの間、生体エネルギーを直接触れて送っていたが、それも終わると大掃除を再開する。


 それから俺と雷珠は自室の掃除を終わらせて、次に風呂場の掃除を行ない午前中で大掃除を終えると、それぞれ順番にお風呂に入っていく。


 そんな中でいつも通りに雷珠と葉月の3人でお風呂に入る。お互いに身体を洗って行き、3人で湯船に浸かると、身体が温まるまでの間、生体エネルギーを使ったちょっとした遊びを行なっていた。


 お互いに均等に生体エネルギーを浴槽のお湯に流して行き、お湯の中に拡散する生体エネルギーを操作して、お互いのお湯に流している生体エネルギーをぶつけ合う。


 すると、ぶつかり合った生体エネルギーは衝撃を発生させてお湯が揺れ動くのだ。


 それを利用してお湯を間欠泉の様に吹き上げさせるのだが、これは3人で均等に生体エネルギーを流さないと起こらない現象で、訓練を兼ねてハジメ、雷珠、葉月の3人は行なっていた。


 最初にこれを1人で行なって遊んでいた頃は自分自身で流す生体エネルギーの量を決められるので簡単に行なえるのだが、これを2人で行なうと途端に難しくなり、これが3人で行なうならより難しくなってしまう。


 雷珠と葉月が合わせてくれるのなら簡単になるのだが、瞬時に相手が使用している生体エネルギーの量を判断する為の修行の一貫でもあるので、簡単には合わせられない。


 「やっぱり難しいね、これ。」


 「確かにな。オレも葉月が流した生体エネルギーに合わせないといけないからな。最近は慣れてきたけど。」


 「これでもまだ最初の一段階目ですよ。これに生体エネルギーの隠蔽を組み合わせたりして、どれくらいの流すのかを隠したりもそのうちしますからね。」


 まだ一段階目の段階でここまで出来ないとこれからの修行は大変だなと思いながら、瞬時に生体エネルギー感知をしようと頑張っていく。


 そして時間は経って行き、のぼせる前に雷珠や葉月の判断で風呂を上がる。


 大晦日の今日はもうやる事はなく、お風呂に入ったから汗をかく様な修行はせずに生体エネルギーや霊力の操作制御などの修行を行なって過ごしていく。


 

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