第41話

 「2人共、あれって何?普通じゃないよね。」


 これまで見たことのある幽霊や悪霊に怨霊などとは違い、幽霊の様に見えるが幽霊とは違う別物の幽霊を視界の端に収めながら俺は雷珠と葉月に聞いた。


 「ハジメ様、教えるのはあとにしましょう。」


 「そうだな。ケーキ屋だと人が多過ぎる。もし気付かれて暴れでもされたら大変だぞ。」


 「そうだね。分かった。」


 雷珠と葉月の言い分に納得すると、俺はお母さんが会計を終わって車に戻るまでの間、女性に取り憑いている嫌悪感のある幽霊もどきを気にしない様にしながら過ごして行った。


 「お待たせ。帰ろっか。」


 そうしてケーキを購入して会計が終わったお母さんが戻ってくると、俺たちはお母さんの後ろを付いて行って車に乗り込んだ。


 車に乗って出発すると、お母さんを困らせない様にする為か、葉月が防音の結界を張ってから、俺が質問した幽霊もどきの話が始まった。


 「ハジメ様がおっしゃっていた幽霊もどきは生き霊です。生きてる人の念が自身の魂に干渉して生まれる存在ですね。」


 「だから、どこか別の場所と繋がっている感じがしたのか。」


 あの生き霊が何処かと繋がっている感じがしていたが、生き霊を飛ばしている本人に繋がっているのだろう。


 それにしてもあの女性に取り憑いているのなら、あの生き霊は女性に何らかの感情を持っているんだと思われる。


 「あれもクリスマスシーズンだから、あんな風に生き霊になって取り憑いているのかな?」


 「あー、あれは違うと思うぞ、ご主人。1月2月前には取り憑いているだろうからな。」


 「そうですね。私もそう見えました。雷珠さんの意見に賛成です。」


 クリスマスシーズン前から取り憑いていたのか、それならあの生き霊に取り憑かれているのに大丈夫なのかな。


 「あの女性や隣の男性は大丈夫だと思う?」


 1ヶ月、2ヶ月も取り憑かれている女性や、その女性と付き合っていると思われる睨まれていた男性のこれからの安否が気になり、雷珠と葉月に質問した。


 そして帰ってきた質問の答えは分からないとの事だった。どうやらクリスマスシーズンで放出されている生体エネルギーを吸収して悪質な生き霊になる可能性もあるが、それ以上に生き霊は人喰い系怪異に取っては良い獲物らしい。


 討滅士に狙われたくない人喰い系の逸話から生まれた怪異は、人を食べたい代わりに生体エネルギーを代わりにしているが、それでも耐えられない場合は生き霊を探して食べるのだそうだ。


 このクリスマスシーズンでは生き霊も現れやすいらしく。その為、あの生き霊もそんな人喰い系怪異に捕食されるのではないかと言うところだ。


 「それって生き霊を飛ばしている人には影響ないの?」


 飛ばしている生き霊が人喰い系怪異に食べられたら、何かしらの影響がありそうな気がするのだが。


 その疑問に対しては影響があると言うことだった。生き霊は飛ばしている本人と繋がっており、その繋がりを通して痛みがあるらしい。


 それはやはり生き霊自体に飛ばしている人の魂の欠片がある影響なのだそうだ。


 「ま、そう言う事だからご主人は気にしないでも構わないだろうよ。」


 「そうですよ、ハジメ様。それに気持ちの悪い生き霊でしたしね。」


 「うん、そうするよ。」


 それを最後に葉月が防音の為の結界を解くと、お母さんが聞いても良い話だったのかを聞いて来るので、雷珠と葉月が話せる範囲で話していると、車は家にたどり着いて到着した。


 それから家にたどり着いたハジメたちは買い物して買った荷物を持って家の中に入り、それから夕食までのんびりと過ごす。


 そして、夕食のクリスマスパーティーを楽しみながら、クリスマスプレゼントを両親から貰い、クリスマスケーキを雷珠や葉月も含めた全員で食べて過ごして行くのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る