第40話
「ハジメちゃん、雷珠ちゃん、葉月ちゃん、お出かけする時間よ。」
「今から行くー!雷珠、葉月。行くよ。」
「おう!」
「はい。」
お母さんの呼びかけを聞いて、俺たちはリビングに向かうと、そこには出掛ける用意を終えたお母さんがいた。
「みんな出掛ける用意は出来ているわね。じゃあ行くわよ。今日は4人もいるからお一人様98円の商品が買えるわ!」
お母さんはスーパーのチラシを見て、どれを買うのかを確認していた様で、チラリとチラシを見て確認すると、購入予定の物に油性ペンでマークが書かれていた。
チラシを買い物カバンの中に仕舞ったお母さんの後を付いて行って玄関を出ると、そのまま車まで真っ直ぐに移動して出発する。
車が走って行く外を見ていると、今日はいつもよりも怪異がよく見掛けていた。
「なんか今日は怪異が多くないかな?」
「確かにそうですね。何でなのでしょうか?」
俺と葉月が疑問に思っていると、雷珠はその原因を知っている様で、したり顔をしながら教えてくれた。
「今日はクリスマスだからな。クリスマスを楽しみにしている人や、逆にクリスマスの時に負の感情を抱く人だって居る。そう言う人たちの生体エネルギーが活性化して身体からの放出量が増えたから、怪異が放出された生体エネルギーを吸収して活発になったり、放出された生体エネルギーで新しく生まれたりしているんだよ。」
これだけ怪異を見られるのはクリスマスが原因なのか。
感情が正でも負でも大きくなれば、それだけ生体エネルギーが活性化して放出量も増えるって前にも教えて貰ったな。
それにしても負の感情をクリスマスでするのは、あれかな、恋人が居ない人がカップルを見たりして抱いている感情なのかな?
怪異に気付かれない様にしながら見ていたが、それも飽きた俺は、クリスマスだからか混んでいる為、運転に集中しているお母さんを除いた雷珠と葉月の2人と会話をしながら過ごして行った。
そしてスーパーにたどり着くと、4人でスーパーの中に入って行く。
スーパー内にも怪異は居るが、大体は小物の怪異で生まれたばかりの者が多いなかで、ヤバそうな怪異に取り憑かれている人を発見する。
「見てはいけませんよ。」
「そうだぜ。あれは個人に執着している怨霊の怪異だが、気付かれたと思えば、こっちにも何かしてくる可能性はあるからな。」
「うん、分かった。」
2人に言われた通りに取り憑かれている人から視線を逸らして、俺はカートを動かしながらお母さんの後を付いて行った。
そうしてスーパーでの買い物を何事もなく過ごして行くと、買い物が終わって次はケーキ屋へとクルマが出発する。
そのまま車が10分ほどで目的地のケーキ屋にたどり着くと、そこにはケーキ屋でケーキを購入しようとする人たちが、それなりの数が居た。
その中にはベッタリと身体に張り付き取り憑いている男性の幽霊が女性の顔を覗いており、その女性の隣の男性が女性に話し掛けると、幽霊と思われる存在は怒った顔をして男性を睨み付けている。
あれはなんだと凝視しそうになるのを耐えながら、俺は視線をガラスの向こうに並べられたケーキを見ることにした。
意識をケーキに集中さ様とするが、女性に憑いている幽霊は今まで遭遇した事のあるどの幽霊よりも生き生きしており、生体エネルギーもどこからか与えられている様な印象があって、どうしても気になってしまう。
「ハジメちゃんはどのケーキが良いと思う?やっぱりショートケーキが良いかな?」
「苺がたくさん乗った奴が良いな。」
「なるほどね。雷珠ちゃんはどうかな?」
お母さんが順番にどのケーキにするかを聞いている間に、俺はもう1度だけ女性に取り憑いている幽霊をチラ見してから会計にお母さんが向かった隙に雷珠と葉月に質問する。
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