第37話

 家に帰るまでの帰路の間に、俺は先ほど質問した生体エネルギーの結晶の事を葉月から聞いた。


 どうやら生体エネルギーの結晶である生体結晶は、生体エネルギーや星体エネルギーを元にして生まれた怪異にしかなく、お婆ちゃんの家の裏山に出来ていた異界は瘴気によって生まれた異界だったせいで、生まれる怪異も100%瘴気を元にして生まれた怪異だった為、例え浄化して瘴気を生体エネルギーや星体エネルギーに戻しても、体内に生体結晶や星体結晶がなかった様だ。


 ちなみに使い道は呪具や法具などを起動させるエネルギー源や、結晶を破壊して内部のエネルギーを吸収するなどが、生体結晶や星体結晶でする事が出来る。


 そんな話をしながら自宅に帰った俺たちの帰宅を察したクロがお出迎えに来ていた。


 「にゃーん!」


 「クロ、ただいま。」


 俺が「ただいま」とクロに言ったのに続いて雷珠と葉月も帰宅の挨拶をすると、いつも通りに洗面所に向かった。


 手洗いうがいを順番に済ませて、リビングで夕食の準備をしていたお母さんに「ただいま」と帰宅の挨拶をすると、俺たちは2階の自室に向かう。


 学習机の上にランドセルを置いて、ランドからの中から生体結晶を抜き取った俺は、生体結晶を持ちながら、雷珠と葉月にこれからの話をしていく。


 「それで顔のない男を俺たちで倒したけど、これからどうすれば良いと思う?やっぱり知らせた方が良いのかな?」


 もう既に討滅士たちが倒していたはずの怪異である顔のない男。そんな顔のない男と俺たちは遭遇し、戦闘を行なって勝利した。


 本来なら既に倒されているはずの怪異だ。それなのに俺たちが遭遇して倒した事は何かしらの問題になる可能性が高い。


 その為、これからどうすれば良いのかを雷珠と葉月に俺は聞いた。


 「オレとしては知らせた方が良いな。増殖する能力があるのか、それとも討伐されたと怪異に偽装したのか、討伐事態が嘘だったのか分からないからな。」


 それから詳しく聞くと、増殖などの増える能力や噂話が広がって新しく生まれたのかに関わらず、顔のない男と遭遇した事は伝える方が良いし、討伐されたと偽装するほどに知恵があるのなら、俺たちが倒した顔のない男の亡骸も偽装の可能性も出てくる。


 そしてこれが1番の問題だが、討伐していないのに討伐されたと言うことになっている事だ。


 その場合は知らせるべき場所が変わる上に、下手に知られると今回の討伐を行なった討滅士たちに恨まれる可能性すらある。


 「葉月の意見はどうなの?」


 「私も今回の件は知らせるべきです。ですが、知らせ方を考えないといけないのは確かですね。とりあえず、前回連絡先を教えてられた討滅士に顔のない男をどんな風に倒したのかを聞いてみるのはどうでしょうか?」


 「本当に倒したのかどうかを知れるかも知れないしな。それで本当に倒していたのなら、オレたちが倒した顔のない男の事を知らせればいいだろ。」


 そうして今後の方針が決まると、俺はさっそくデバイスに登録されている連絡先を貰った討滅士へと連絡を行なった。


 連絡した討滅士の人に連絡が付くと、顔のない男を倒したのは本当なのか、どうやって倒したのかを聞くが、守秘義務がある範囲は教えて貰えなかったが、どうやら本当に倒したのは事実だった様だ。


 それで今日の放課後に俺たちごまた顔のない男と遭遇して逃げられずに倒した事を伝えると、討滅士の人に心配されながら怒られる事になったが、倒した証拠の生体結晶を見せると難しい表情をしており、後日俺たちから話を聞くことになった。


 「ふぅ、これで一先ずはやる事は終わった。」


 「お疲れさまです。と言いたいところですが生体結晶をきちんと保存して起きましょう。準備するので待ってください。」


 葉月が生体結晶をなくさない様にする為に離れて空間保存壺の中に入ると、俺は膝の上で丸くなるクロを撫でながら葉月が戻って来るまでの間、雷珠と話をしているのだった。

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