その6 やべぇ職場にやべぇ職員

 どうしてもやっべぇ保護者はいるもんですが(やべぇ保護者についてはまた書こうと思います)、そのやべぇ保護者にも「来年も先生がええわぁ♡」と慕ってもらえるほどには、先生としてちゃんと出来てたと思います。

 保護者に慕ってもらえるから仕事が出来る、は厳密には繋がりませんが、とりあえず、めちゃくちゃ仕事出来ないわけではなかったと、自負しています。


 そして、これまでベテラン勢のターゲットにされていた先生たちも、総じて「ちゃんとした」先生でした。


 このエッセイのその2で「幼小中高一貫校だった」と話した通り、ばかでかい学校の敷地内に幼稚園がありました。

 そして、わりと職員同士の交流が多いところでした。学校全体での行事があったりで、会議も多かったからです。

 とくに、幼少は子ども同士も交流会を多く設けていたので、小学校の先生との関わりが多くありました。

 職員室は学校ごとに別れていたので、毎日顔合わせをする訳ではありませんでしたが、会議で会う度に「先生、大丈夫? ヤバいよなあの先生ら……しんどなったら言ってきてな」と心配されるほどには、ベテラン勢のあたおかは周知の事実でした。


 ではなぜ、教師への復讐ものの結末によくある「左遷」「減給」などにならないか。

 実際のところ、こうした学校内での職員同士の確執は、どこにでもあるものです。

 これはその時の、幼少中高全てを管轄する事務の方から聞いたお話ですが、教師は同じ教師をちょっといじめたくらいでは厳罰を喰らわない、とのことです。


 実害がでていないから。


 新任が次々辞めることは、害にはならないらしいです。また、パワハラで訴えても、たとえば悪口を言ってる声を録音、録画したとしても、証拠として扱われない、と。

 いまだに理解出来ていませんが、教師の世界は思ったよりもどろどろと汚いようです。


 同級生から聞いた他の園のやばい話もついでに紹介しておきます。


 その園も私立幼稚園で、通園バスもあるところでした。通園バス担当になった日は、朝の7時に出勤。欠席の連絡やバスのルートを確認後、バスに乗り込んで子どもたちを迎えに行くのですが……。時間にして約1時間半、この時間には手当がつかないらしいです。8時半からの出勤扱いで、新任はバス担当の割合が多い。ブラックにも程があります。

 さすがに誰かが動いたようで、途中から1時間半きっちりと手当がでるようになったそうですが、2年ほどは無賃でその時間を働いたそうです。


 さらに別の園。

 一時期、結構保育園や幼稚園での不祥事がニュースでも取り上げられていましたね。出欠確認を怠り、子どもをバスに置き去り。子どもを逆さ吊り。保育士による虐待うんぬん。

 あれと同じことを別の園では行っていました。言うことを聞かない園児を倉庫にいれて、泣いても喚いても出さない。1時間くらい放置し、泣き喚いて疲れぐったりした園児に「あなたが言うことを聞かないのが悪い。倉庫が嫌だったら言うことを聞きなさい」。

 この非道を園長先生が行っていたらしいです。園児が大きくなってから「そういえば」と話をしたことが公になり、園長は解任。当たり前ですね。


 これ、なぜ他の職員は園長を止めなかったと思いますか?


 たぶん、色々と事情はあって、理由はひとつではないと思います。けれど、保育職に共通するあることがあります。


「先輩にキツくあたられる職員は、その鬱憤を子どもへ向ける」


 私自身、見に覚えがあります。他の職員から「本当にだめな先生」「だめな先生だからあなたが担任するクラスの子たちもだめになっている」と言われ続け、私がこんなに言われるのはクラスの子どもたちがしっかりしていないせいだと思ってしまいました。

 幸いにも、私は職場以外の場所に相談できる人もいて、子どもに手を出すことは無かったです。これは本当に良かった思う。けれど一歩間違えれば、手を出していたかもしれない。そんな危うい一線。


 子どもに手を出す職員には、もしかした同じような背景があるのかもしれない。とはいえ、やってはいけないことを越えられるということは、元来の性質ということもあるので、全面的に肩を持つわけではないが。


 通報出来なかった職員は、それを止めれば次のターゲットは私かもしれない、と脅えていたのだとおもう。


 まあ、全部の園がこうだとは言いませんが、現実問題としてこういう「闇」を抱えた園はそこかしこにあると思います。

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