第四話:聖女様は目的の為に


 エマリアル一行いっこうは衛星都市ユーベルトに到着していた。



「ここがユーベルトですわね? あ、確かに若い男の子があんなに!」


「何処見てんですかエマリアル様。とりあえず神殿に行きますよ」


 広場で遊ぶ少年たちに目が釘付けのエマリアルをリーリアは引っ張って神殿に向かうのだった。



 * * *



「おお、聖女殿では無いですか! よくぞ参られた。ささ、こちらへどうぞ」



 神殿に行くと司祭が直々に応対してくれた。

 それもそのはず、魔王を倒した勇者一行の聖女である。

 例え女神信教総本山でも彼女を無下むげには出来もしない。



「して、こちらへはどのような御用で?」


「いえ、魔王討伐後の各所が気になりまして。こうして諸国を漫遊してその実情を見て回っているのですわ」


 リーリアに何か聞かれたらそう言う方が良いと教えられエマリアルはそう答える。


「流石は聖女様だ。お優しきそのお心、きっと女神様もお喜びになられるでしょう。どうぞ我神殿にご滞在下さりこのユーベルトの街をご覧になられるがいいでしょう」


「お世話になりますわ、司祭様」


 こうしてエマリアルたちはこの神殿を拠点とするのだった。



 * * *



「そ、それでどうやったらバージン捨てられて経験が豊富になるのですの?」


「いや、部屋入っていきなりその話ですか? 考え直す気はないのですか?」


「こうしている間にも私どんどん年を取ってしまいますわ! 早く経験豊富になって理想のダーリンを捕まえなければですわ!」



 やる気満々なエマリアル。

 深いため息を吐くリーリア。

 しかしリーリアは意を決して言う。



「それでは夕刻になったらこちらの服を着て私と一緒に夜の街に来てください。初めての相手は私が選定します。街角に立って客引きすればエマリアル様の容姿であればすぐにバージンを捨てられます」


「は、はい、よろしくお願いしますわ!」




 こうして目的の為にエマリアルは大きな一歩を踏む出すのだった。 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る