第4話 最悪の目覚め・ゲームマスター登場
「う……」
頭が重く身体がだるい……優笑は気怠さのなか目覚めた。
事件から痛む頭を押さえながら優笑は肌寒さも感じた。
シーツもかかっていない。ベッドの感触はなく硬さと冷たさが背中から伝わってくる。
「え……?」
目を開けると、見たこともない天井は病院のそれより、もっともっと高い……。
まるで体育館のようなライトが見えた。
「なに……?」
ゆっくりと起き上がると、傍に優楽が眠っていた。
「優楽……!」
そしてその奥にも、その横にも少女達が眠っているのに気付く。
ゾクリとした。
眠ったまま、無造作に床に置かれたような状況だ。
死体が散乱しているようにも見えた。
「ん……優笑ちゃん……? ……なに?」
死んだように眠っていたので、優楽が目を覚ましホッとする。
二人で手を握り合う。
「なんだよ!? これはぁ!」
「一体なんなの?」
「きゃーいやぁ!」
「怖い……」
「看護師さん! 此処はどこなの!?」
起きた少女達が異変に気付いて騒ぎ出す。
見渡すと学校の体育館の半分程度の部屋だ。
両開きの入り口が1つだけ見えた。
「ふざけんな! 開けろ!」
一番大騒ぎしている女生徒。
金髪に近いウェーブのロングヘアが、怒鳴り声と共に揺れている。
「あれ、真莉愛……?」
「うっそ、狂犬の真莉愛じゃん」
女生徒同士の話が聞こえた。
学院の高等部三年生。
知らない者はいない、有名人だ。
ギャルと不良の中間のような問題児。
目鼻立ちがハッキリしており背も高く、体つきも筋肉質で迫力がある。
しかし彼女のような問題児ほど学院での教育が必要、と学院長は退学にはしなかった。
「開けろー!」
「開けろっていってんだろ! コラ!」
真莉愛の手下と言われている二人も同じように叫びドアを蹴り上げている。
『ゴキゲンヨウ・吸血鬼ノ姫ニナル幼虫達ヨ……さぁ静かにしてください』
「な、なに……!?」
ボイスチェンジャーを通したような声がホールに響く。
何を言われたのか全く理解できなかった。
優楽が優笑に抱きつき、優笑も怯えて抱きしめあう。
「あ、あれ見て……!」
天井が近い壁に巨大なモニターが設置され、そこに映像が映し出された。
安っぽい吸血鬼のコスプレマスクをした人物が白衣を着ている姿。
女生徒達の悲鳴が上がる。
『落ち着いて、騒がずに……聞いてください』
一体何が始まるのかと、ザワザワと皆が喋りだす。
「優笑ちゃん……なにこれ」
「わかんない……これから親が迎えに来るとか……違うかな」
混乱する頭で都合の良いように考える。
きっとそうだ。
小学校の時とか、体育館に集まって保護者が来た人から帰るとか……そういうのに違いない。
そう、に違いない……と敢えて楽観的に脳みそを動かす。
……そうではない事を、直感的に感じているから。
『貴女たちは国の宝です』
何を言っているんだろうか。
全てがおかしい、怖い。
『なので貴女たちにはこれから、一人になるまで殺し合うデス・ゲームをしてもらいます』
シーン……とホールが静まり返った。
【生存者:32名】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます