第10話 みかんといちご

「当然、OKに決まってるだろ」


なんで、罪もない彼女達がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ?


「匿ってくれるってこと?」

「んなことより……その組織ごとぶっ壊してやるよ」

あえかからの承諾が出たんだ。絶対にぶっ壊す。

「Vtuberってのは、神聖な生き物で尊すぎて崇め奉るのが基本の生き物なんだよ」

「「……?」」

2人は頭を傾げている。まだ理解できぬか……。

「そんなことで、私はめちゃくちゃVtuberが大好きなの。そんな大好きなVtuberがされるはずがないことをされるなんて笑えない」

「それでこそあえちゃんだ」

もーねがうんうんと頷いている。

「とりあえず、自己紹介をしようか」


「私の名前はあえか。逢崎あえか。まぁ、今話してる私は違うんだけどね」

「「?」」

2人とも頭にはてなを浮かべている。

まぁ当然だよな。

「今の私はあえかが生み出した人格……二重人格だと思って笑えればいい」

あ〜という感じで2人は納得してくれたようだ。

「私は荒木颯太という男なんだが……気にしないであえかと呼んでくれ」

「「OK」」


もーねはみんな知っているということで省くことに。


「私の名前は、オーネスト・フロリア」

「そしてアタシが妹のスベリカ・フロリア」

「オーネストさんとスベリカさんね……」

「みかんといちごでいいわよ。そっちの方が馴染みあるし……」

「わかりましたけど……なぜにみかんといちご?」

そう尋ねると、2人は答えた。

「みかんが好きだから」

「いちごが好きだから」

という、なんともまぁ単純な理由だった。

「好きなものはたくさんあるんだけど、オーネストでオレンジ」

「私はスベリカでストロベリー」

なるほど……。


「それで?あの一瞬の頭のキレの良さはどういうことなの?」

「あー、あれは……私の能力だと思ってもらえていいよ」

「能力?」

「私は本来であれば、脳を100%使っているのが人間なんだけど、私は2%ほどしか使っていないらしんだけよね。ただ先生によれば私の2%は一般人の100%に匹敵、または超えるらしくて……で、一時的に100%にできるってわけ。そうすれば今の状態から脳の機能が50倍になる……だからあんなことができたってわけ」

「なるほど」

「なるほど」

2人とも納得というか理解してくれたようだ。

「まぁ、そいつらが現れるまでは普通に過ごしてようかな……」

「え?」

みかんさんが疑問符を浮かべた。

「いやだって、アジトがどこかわからんし……フランスに行ってもいいけど、地の利があるのは相手側だし。こっちにアジトを作っていてもわからないし、罠があるかもしれないし、今だってみられているかもしれない。だから相手が仕掛けてこないうちは打つ手がないのさ」

「確かに」

「そうね」

「でもあえちゃん」

「ん?」

黙っていたもーねが口を開いた。

「2人とも、こっちに来るのは初めてなんでしょ?」

「そりゃまぁ……」


あえかの住んでいる場所と、彼女たちが根城?にしていた場所は結構な距離で、新幹線で数時間はかかる距離だった。


「だったら、案内した方がいいんじゃない?」

もーねの提案はごもっともだった。

「じゃあ、案内しますか……」




そんなこんなでやってきたのは————

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