第9話 理由

「ちょっとめんどくさいから、日本語で話すわね」

「いいんだけどさ」

そこまで言って私は彼女達に近づいていく。

「どうしたの?」

彼女達は首を傾げている。

私は彼女達のバッグに手を伸ばし、とあるもの掴んだ。

「え?」

「音の反響がちげぇんだよな」


「と、とう…ちょう…き?」

もーねが呟いた。

「まぁ、<本気>を使った際に音の反響がここだけ違っててさ。この反響は金属じゃねぇかなぁ……と思って」

この姉妹の位置を特定する際になんとなく違和感を察知していたのだ。

「え?なんでこれ」

もーねはあたふたしている。まぁ当然だろう。こんな日常で出てこないものが出てきたのだ。混乱してもおかしくはない。

「まぁ、これって2人のものじゃないんだよね?」

私がそう尋ねると2人は全力で首を振る。

「だったらこんなものはいらんないよな。ふん」

私はその小型盗聴器を壊した。

「で?合格ってどゆこと?」

私は2人に問いかける。

「私たちが日本語喋れるってことに驚かないんだね」

「そりゃあ、知ってたからね」

「「え!?」」

2人は同時に声を上げた。

「結構な時間日本語使ってたでしょ?2人とも」

「え?そうだけど……」

「最初に会った時からおかしいと思ってたんだよ」

「え?」

「日本語みたいな、日本人みたいな訛り方が所々あるから……」

「「あ」」

2人は顔を見合わせた。


閑話休題


「私たちは、とある組織から追われているの」

「え?」

もーねは少し困惑の表情を浮かべた。

「まぁ、盗聴器がある時点で何かしらのものがあるよな……」


どうやら2人の父親が現在の核の数千倍も核反応を巻き起こす元素を作り出したらしい。それをとある組織から狙われているらしい。

2人の父親はそれを脅威として封印……もといそれを消滅させようとするも……この世から去ってしまったらしい。

それもとある組織の暗殺のせいだった。

そして、その元素は2人の父親が生み出した特殊な金庫によって封印されているらしい。非常に硬い素材でできており、タングステンなどを混ぜ合わせた素材でできており、熱などにも非常に強く、壊すことは無理だと判断した組織は金庫のロックシステムを解読しようと試みたらしい。その過程で、ロックを解除するためには彼女達が必要不可欠ということがわかったらしい。

そのせいで狙われているのだとか。


「私たちは最初は色々な人を頼ったわ。例えば、親戚の人なんかに頼ったのが最初だった。親身になって匿ってくれたり色々としてもらったのに、親戚の人たちはみんな殺されてしまったの。そして、次は親身になって話を聞いて捜査してくれたフランスの警察官だった。彼もまた、調査中に殺されたの。事故ということになってるけどね」

と2人のうちの片方が言った。

「それで諦めかけていた時にもーね先輩の話を聞いたの」

「話?」

「素手の状況で拳銃相手に勝ち、大人顔負け頭脳を持った少女がいるって。最後の希望だと思ったの」

「まぁ確かにそれは私のことだね」

「……けど、相手は平気で人を殺す極悪非道の組織。万が一、もーね先輩が、悪く言えば贔屓、つまり拳銃相手に勝ったのがまぐれだった場合、私たちはまた1人死なせることになる」

「……だから試したってわけか。それで私は見事に2人の隠れ先を見破り、フランス語言うのも一瞬であてた。だから合格した」

「そうよ」

「まさか、そんなことになってたなんて……」

もーねの顔が困惑のままだ。

「一難去ってまた一難とはこのことか……」

と私は言った。

「……あなた達にメリットなんてないと思うけど……お願い。私たちを助けて」

2人は私に頭を下げてお願いしてきた。


{颯太くん}

わかってるって。

なんでそんな目に遭わなくちゃいけない……だろ?

{うん}


さすれば当然私の答えは……

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