第8話 謎の言語の正体

「あれ、あえちゃん?」

と、呼ばれた。

……この呼び方はまさか……。

「もーね?」

振り向くとそこにはもーねがいた。

「どうしたの?そんなところで」

「いや、ちょっと私のことをつけてきていた人たちがいたから今、事情聴取してるんだけど、あいにくと英語でも日本語でもなくてね……」

「あえちゃんをつけてたって……って、みかんちゃんといちごちゃん?」

「$%%&$#$%?」

「$%&#$%&#$%&!!」

「え?知り合い?」

「うん。事務所の後輩だよ?」

ウソーン。まじかよ。

「もしかして最近デビューしたばっかだったりする?」

「そりゃまぁそうだね」

そりゃ、私も知らないわけだ。私の記憶というか夢での正夢は、あえかの記憶を元に作られてるわけだから、あえかが閉じこもった時点でデビューしていない人は知らない。というか流石に人までは正夢として予知?できなかったみたい。この脳にもできぬことがあるというわけか……。

「と、とりあえず。うちくる?」

私は3人にそう提案した。



あえちゃんの家に行く途中でまさかのみかんちゃん達に会うとは……。

ていうか、あえちゃんをつけていたってどゆこと?


……ていうかなんで日本語を喋ってないんだろう?普通に日本語喋れるはずなのに。


っていうか雨降ってきた?



ーあえかの家ー

「%&%#&$」

「ごめんなんて言ってるかわからない」

って、伝えてみてもわからないと思うけど。

「って、もーねいいって‼︎体は自分で拭けるから‼︎」

「いやぁ、まぁ背中とかって拭きずらいじゃん?」

「触り方が……ってどこ触ってんだ!!」

もーねのせいで話が全くもって進まなかった。


ー数分後ー

「もーね。一旦<本気>使ってもいい?」

「え?さっき使ったんでしょ?」

「まぁそうだね。この人たちを見つけるために一回使っちゃったね」

一応残り2秒の時にやめたけど……関係ないんだよなぁ。


※残り何秒でやめようが、関係がなく、例え1秒しか使用していなくても2回目の使用で確実に体に大きな負荷がかかる。ゲームでいう少ししか使っていないけど、使ったには使ったからクールタイムが発生するのと同じ。


「その状態で使ったらまずくない?」

「うん。確かにまずいね。けど何話してるかわからないと話進まないし……」

「でも……」

「まぁぶっ倒れたら、よろしく」

「それは何してもいいってこと?」

「んなわけあるか!!」

というツッコミを入れたところで、私は集中した。脳に神経を注ぐ。

そして2人の話していた言葉と自分の記憶から2人の言語を予測していく。


…….多分ラテン語系か。

で、多分表情から察するに、この言葉だとして……。

多分この言葉はこのラテン語だから……。


「わかった」

私はその瞬間、<本気>をといた。

「え⁉︎もう⁉︎」

「うん。彼女達の、けんごはぁ……」

視界がぐらつく。やはり無理か…..。

4秒でも結構な負担なんだよな……頭痛も出てきた。

しかし数十秒でグラつきと頭痛は治った。

はぁ……数秒といえど油断はできないなまじで。

これで敵の真ん前でこんな状態になっただけでほぼほぼ終わりだ……。


※なお、この頭痛やグラつきはもう一度<本気>を使えばなくなるが、再度解いた時には頭痛やぐらつきの大きさ?強さが最初の比ではないぐらい大きくなる。


「大丈夫?」

「なんとか」

「……いや、一回休もう」

もーねがそんなことを言った。

「いや、頭痛も引いたし視界も安定してる。大丈夫だよ」

「でも……」

もーねは心配してくれているらしい。

「全くさぁ……そういう時だけイケメンになりやがってぇ……」

もーねは意外と鋭い。いつもはふざけたりしてくるのに、こういう時は一切ふざけないのだ。

「……本当に大丈夫?」

「ほんとに大丈夫だよ。辛くなったりなんかしたら言うから」

「じゃあ、指切りしよ」

「……わかった」

「「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボンのーます!指切った!」」


それから何やら静かだなぁ……と思って隣を見たら、姉妹?は眠っていた。

<本気>を使って、言語を解析というか予想していた際もチラッと見えたが、彼女達は起きている際、疲労感が溜まっているように見えた。


「起こすのも悪いし、もーねを心配させちゃったし……寝よっか私たちも」

「….っ‼︎うん、そうしよう‼︎」

もーねが笑顔でそういった。

この笑顔を崩したくないし、おとなしく寝るとしますか。



「もーね」

何やら少し頬を赤くしながら、あえちゃんが話しかけてきた。

「わかってる。ベッドに潜り込んでくるな……でしょ?」

何回も言われたからなぁ……。

「いや、その……」

どうしたのだろうか……?

「一緒に……寝る?」

その瞬間、私は思考が停止した。

しかし、あえちゃんと寝れるという役得をここで逃すわけにはいかない。

私は半ば強制的に思考を始動させ、あえちゃんと一緒に寝た。

あのあえちゃん……可愛かったなぁ……。

瞳の奥に録画しておかないと……。



そして私たちは少しの休眠を挟んだ。

流石にもーねを心配させたことによる罪悪感で、一緒に寝ることを許可した。

ま、まぁクソクソ恥ずかしかったけども。


「それで?」

もーねがそう言った。

「ちょっと、2人とも喋ってみて」

私が“speak”というと意味が伝わったようで、姉妹?の片方が話す。

“仏“『私たちの言葉、本当にわかってるの?』

“仏”『もちろん』


「え?何語喋ってるのあえちゃんは」

もーねがそう聞いてきた。

まぁ、もーねからしたら何喋ってるかわからないよな。

「フランス語だよ」

「フランス語!?」

“仏“『………合格よ』

“仏”『合格って何?どゆこと』

私はフランス語でそう尋ねる。


2人から告げられたのは驚愕することだった。

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