第8話 謎の言語の正体
「あれ、あえちゃん?」
と、呼ばれた。
……この呼び方はまさか……。
「もーね?」
振り向くとそこにはもーねがいた。
「どうしたの?そんなところで」
「いや、ちょっと私のことをつけてきていた人たちがいたから今、事情聴取してるんだけど、あいにくと英語でも日本語でもなくてね……」
「あえちゃんをつけてたって……って、みかんちゃんといちごちゃん?」
「$%%&$#$%?」
「$%&#$%&#$%&!!」
「え?知り合い?」
「うん。事務所の後輩だよ?」
ウソーン。まじかよ。
「もしかして最近デビューしたばっかだったりする?」
「そりゃまぁそうだね」
そりゃ、私も知らないわけだ。私の記憶というか夢での正夢は、あえかの記憶を元に作られてるわけだから、あえかが閉じこもった時点でデビューしていない人は知らない。というか流石に人までは正夢として予知?できなかったみたい。この脳にもできぬことがあるというわけか……。
「と、とりあえず。うちくる?」
私は3人にそう提案した。
*
あえちゃんの家に行く途中でまさかのみかんちゃん達に会うとは……。
ていうか、あえちゃんをつけていたってどゆこと?
……ていうかなんで日本語を喋ってないんだろう?普通に日本語喋れるはずなのに。
っていうか雨降ってきた?
ーあえかの家ー
「%&%#&$」
「ごめんなんて言ってるかわからない」
って、伝えてみてもわからないと思うけど。
「って、もーねいいって‼︎体は自分で拭けるから‼︎」
「いやぁ、まぁ背中とかって拭きずらいじゃん?」
「触り方が……ってどこ触ってんだ!!」
もーねのせいで話が全くもって進まなかった。
ー数分後ー
「もーね。一旦<本気>使ってもいい?」
「え?さっき使ったんでしょ?」
「まぁそうだね。この人たちを見つけるために一回使っちゃったね」
一応残り2秒の時にやめたけど……関係ないんだよなぁ。
※残り何秒でやめようが、関係がなく、例え1秒しか使用していなくても2回目の使用で確実に体に大きな負荷がかかる。ゲームでいう少ししか使っていないけど、使ったには使ったからクールタイムが発生するのと同じ。
「その状態で使ったらまずくない?」
「うん。確かにまずいね。けど何話してるかわからないと話進まないし……」
「でも……」
「まぁぶっ倒れたら、よろしく」
「それは何してもいいってこと?」
「んなわけあるか!!」
というツッコミを入れたところで、私は集中した。脳に神経を注ぐ。
そして2人の話していた言葉と自分の記憶から2人の言語を予測していく。
…….多分ラテン語系か。
で、多分表情から察するに、この言葉だとして……。
多分この言葉はこのラテン語だから……。
「わかった」
私はその瞬間、<本気>をといた。
「え⁉︎もう⁉︎」
「うん。彼女達の、けんごはぁ……」
視界がぐらつく。やはり無理か…..。
4秒でも結構な負担なんだよな……頭痛も出てきた。
しかし数十秒でグラつきと頭痛は治った。
はぁ……数秒といえど油断はできないなまじで。
これで敵の真ん前でこんな状態になっただけでほぼほぼ終わりだ……。
※なお、この頭痛やグラつきはもう一度<本気>を使えばなくなるが、再度解いた時には頭痛やぐらつきの大きさ?強さが最初の比ではないぐらい大きくなる。
「大丈夫?」
「なんとか」
「……いや、一回休もう」
もーねがそんなことを言った。
「いや、頭痛も引いたし視界も安定してる。大丈夫だよ」
「でも……」
もーねは心配してくれているらしい。
「全くさぁ……そういう時だけイケメンになりやがってぇ……」
もーねは意外と鋭い。いつもはふざけたりしてくるのに、こういう時は一切ふざけないのだ。
「……本当に大丈夫?」
「ほんとに大丈夫だよ。辛くなったりなんかしたら言うから」
「じゃあ、指切りしよ」
「……わかった」
「「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボンのーます!指切った!」」
それから何やら静かだなぁ……と思って隣を見たら、姉妹?は眠っていた。
<本気>を使って、言語を解析というか予想していた際もチラッと見えたが、彼女達は起きている際、疲労感が溜まっているように見えた。
「起こすのも悪いし、もーねを心配させちゃったし……寝よっか私たちも」
「….っ‼︎うん、そうしよう‼︎」
もーねが笑顔でそういった。
この笑顔を崩したくないし、おとなしく寝るとしますか。
*
「もーね」
何やら少し頬を赤くしながら、あえちゃんが話しかけてきた。
「わかってる。ベッドに潜り込んでくるな……でしょ?」
何回も言われたからなぁ……。
「いや、その……」
どうしたのだろうか……?
「一緒に……寝る?」
その瞬間、私は思考が停止した。
しかし、あえちゃんと寝れるという役得をここで逃すわけにはいかない。
私は半ば強制的に思考を始動させ、あえちゃんと一緒に寝た。
あのあえちゃん……可愛かったなぁ……。
瞳の奥に録画しておかないと……。
*
そして私たちは少しの休眠を挟んだ。
流石にもーねを心配させたことによる罪悪感で、一緒に寝ることを許可した。
ま、まぁクソクソ恥ずかしかったけども。
「それで?」
もーねがそう言った。
「ちょっと、2人とも喋ってみて」
私が“speak”というと意味が伝わったようで、姉妹?の片方が話す。
“仏“『私たちの言葉、本当にわかってるの?』
“仏”『もちろん』
「え?何語喋ってるのあえちゃんは」
もーねがそう聞いてきた。
まぁ、もーねからしたら何喋ってるかわからないよな。
「フランス語だよ」
「フランス語!?」
“仏“『………合格よ』
“仏”『合格って何?どゆこと』
私はフランス語でそう尋ねる。
2人から告げられたのは驚愕することだった。
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