第7話 謎の言語を話す姉妹?

——数刻前——


私は、


「削除します……」

そうせざるを得なかった……。

背に腹は変えられない……。

そうして、スマホの音声データを削除……すると見せかけてパソコンの方にデータを送り、削除した。

そして削除した画面を胡桃さんに見せつける。

「これで消えたよ」

「よし……これで消しってっと……」

胡桃さんも消してくれたようだ。見た感じ、私のように別の機器に送っているようには見えなかった。


「まぁ、ぶっちゃけ言うとさ」

「?」

「配信のボイスを切り取れば、すぐにバレるけどなんでも好きな言葉を言わせることはできるけどね」

音MADなどでよくある手法である。

例えば、

<いや〜今日は大変だった….>と言う言葉から、『いや』と『だ』を抜き取ってくっ付ければ、『いやだ』と言う言葉をその人の声で作る子ができる。

「まぁ確かにそうなんだけど、くっつけてできる音声と普通に録った音声じゃ、天と地ほどの差があるでしょ」

「確かに」

私は納得した。

「ちなみに、私、あえかの音MADって現在12万個、あるみたいですよ」

「いや、多すぎじゃない?」

「まぁ……色々あるんですよ」

私は明日の方向を見つめた。

「な、なんか大変なのね、あえかも」

「あはは〜….」

それから、他愛もない話をして私は胡桃さんの家を出た。

出たというより追い出されたが正しいけど。流石にダル絡みしすぎたかなぁ?


………後日、はなさんに例の移していた録音データを渡したところ、大興奮状態となって結果、私が胡桃さんに詰められるんだけど…..それはまた別の話。


「これからどうしよっかなぁ….」


「ん?」

何やら誰かから見られている気がする。

「…….」

見渡してみても、誰もおらず、私しかいない。

しかし、確かに誰かから見られている気がする。

ここは本気を使えばわかるか……?

私は神経を集中させて脳の上限を開く。

残り5秒のうちに特定しなくては。


少し前に当たった風の感覚と、変化がないか….?

少しの誤差を考慮して………後ろの風が少し弱まってるな。

…..砂利の音がする。人がいる証拠だ。

あと先ほどの小石の位置が若干違う。

残り2秒で私は<本気>を使うのをやめた。



ここでおさらい

あえかの体はすごく特殊な特殊な体となっていて、人というのは普段100%、脳を使っている。

しかし、あえかは2%しか使っていない。それなのに普通の人の100%と釣り合いが取れているのだ。なんなら、あえかは結構頭がいい部類なのである。2%しか使っていない状態で。

しかし、あえかは脳に神経を集中させる…つまり脳に意識を集中させることにより、一時的に脳の上限を2%から100%にすることができる。

もちろんそれは、脳に関する機能のすべてが50倍されることに等しい。

それは聴覚の処理も、言語の処理も、記憶能力などもだ。

しかしそれは基本的には火事場の馬鹿力理論で、普段使っていないものを急に使う…そして膨大な量の情報が入ってくるために精神にも頭にも負担をかける。

最悪植物人間になる可能性があるため、極力使わないようにしている。

ただし、何回かの使用により少しの耐性がつき、一日一回、5秒間だけであれば何も起きない。


※<本気>以外で何かいい名前あったら教えてほしいです。


まーじで気配が視線だけだった……というよりわざと視線だけ出していた?

なんのために?

そんなことを考えつつ、物陰に隠れている2人の女性を見つけた。

……姉妹のようにも見える。

「私になんかようすか?」

「⁉︎」

「#$&&$$##%%$%#%」

いやわからんわからん。

わからん言語で喋らないでほしいんだけど。英語でも日本語でもないからわからんて……。

「えっと……」

私は非常に混乱していた。

英語を覚えるときにラテン語も一応覚えたから、ラテン語圏だったら本気を使えばわかるんだろうけど……。

使ったらぶっ倒れるかもしれないし……。

そこで意外にも現れた人物がいた。

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