第2話 前回の粗筋!

「前回の粗筋!!!……ってなに?」

もーねが急に前回の粗筋と書かれた紙を掲げながらそんなことを口にした。

「いやこっちが聞きたいわ。急にどしたの。ていうかあらすじの漢字、よく知ってるな」

MyTubeまいつべ……略してMT。その動画ですら粗筋ではなくあらすじと書くことがほとんどなのに……なんで知ってるんだ…?

「いやなんか…言わなきゃいけない気がしたから…?粗筋の漢字はとあるMyTuberから学んだ!」

と、元気よく言うもーね。褒めて欲しそうな目でこちらを見てくるが、私はそれをスルーする。理由は単純。もーねの意図が分からなかったから。

「あらすじって、どこまでがどこまでなのか分からんて。ここは創作の世界じゃないんだから」


もーねが泊まることになった!!!


……とでも言えばいいのだろうか。それとも私がこっちに来た時から今までの事をつまびらかに言わなければいけないのだろうか……。


『そんなことはどーでも良くてですね』

『何で急に英語……ってもーねが言い出したんだろ』

『母国語で生まれてから今までずっと使ってきた私が言うのもなんだけど、雰囲気出そうと思って……英語にしてみた』

『あぁ……そう』

今日のことですでに疲れていた私はツッコむことすらも出来なかった。

『なーにかしよーよ』

『全然雰囲気ねぇじゃん!!』

雰囲気のあることを言われるのかと思っていたら、全く雰囲気のないことを言われた。これには、さすがに疲れているとはいえ、無意識に突っ込んでしまった……。

『なんか疲れてるっぽいけど、どうしたの』

『とある外国人女性のことで頭を抱えててね……』

『え!?あえかちゃん、私以外の外国人女性で知ってる人いるの!?』

……どうして自分という枠は数えないのだろうか。

『……なんかもう……疲れた』

『ねぇ!?どこの誰なの!?ねぇ!!』

私はもーねに揺さぶられながら、ただ時間を消費した。


『はぁぁぁぁ〜〜……』

やっぱり風呂っていいな……。心身ともに安らぐことが出来る安息の地……。

『もーねに振り回されるのも確かに疲れるんだけど……やっぱり推しだから嬉しい気持ちもあるんだよなぁ……』

と、独り言を呟く。

『っと。さっきまで英語で話してたから、今も英語で呟いてた……』

英語に慣れすぎると日本語が下手になる……。

日本語が下手になると困る……。

日常生活をする上では、どーでもいいが……

{どうでもよくないよ!?}

……?なんか突っ込まれた気がするが……。

{私だよ私}

なんだ、あえかか……。

{日常生活よりも大切って……どんなところで日本語を使うの?}

そりゃもちろん…………推しの配信だろ!

{あ……そーなのね}


※荒木颯太は重度のオタクであるが、それを作ったあえか本体は重度のオタクではなく、一般的です。


『無言でどーしたの?』

「わっつ?」

というような、間の抜けた声を出してしまったのも束の間。扉からもーねが入ってきた。

『ええええ!?』{ええええ!?}

私たち2人は同時に驚愕した。


まさかの風呂に凸って来るとは……。


※2人とも裸を見られるのが恥ずかしいため驚愕しているが、颯太は推しに見られることの羞恥。あえかは普通に人に見られることが羞恥。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る