第1話 てんちゃいあえか(鈍感)

「Vtuberは夢の塊!! 荒木あえかです!」

→こんあえ〜

→こんあえ〜

→『こんあえ〜』

「ということで、今日は雑談枠だからなんか喋るかぁ....」

→なんか俺らで企画考える?

「それいいじゃん!!それで行こう」

そう言うと、リスナーである〈紅枝あかえだ〉達は、企画案をコメ欄に書き始めた。


今日も、Vtuber生活は順調である。


ちなみに、リスナーのみんなにはあえかが二重人格であるということで誤魔化した。

流石に今までにあったことは言えないし.....。


「いやぁ....最近、先生がむずい問題ばっか出してきてめんどくさいんだけど」

「そうなの?」

「そうだよ。この前なんか、中1の私に<係り結びの法則>をやらせてきたんだよ?」

「<係り結びの法則>?」

もーねは分からないようだ。電話越しからでも頭を傾げているのがわかる。

「まぁ、それはめんどくさいから今度言うよ」

「英語の方はどうなの?」

「そりゃ、めんどくさいよ?」

「具体的には?」

「うーん。私だけ2000文字を超える長文を与えてくるとか」

「そりゃ、えげつないね」

「でしょ?」

それから、もーねとは他愛もない話をして終わった。


「そういえば、最近平和すぎるんだよなぁ........」

前回の教訓から平和すぎると、何か良くないことが起きてしまうということ。

最近、事件と言えるものがなにも起きていなかった。

裏で何か起こっているかもしれないんだけど........。


別の日


「この前した、みんなが企画案書いてくれたやつで、思ったより面白い企画があったから、やってくぞー」

→わーい

→やったぁ

→待ってましたー!


その日の配信では、みんなから募集した企画をした。結構楽しめて、気が付けば4時間が経過しているという異例の事態だった。

下からおどろおどろしい親の気配……明日も学校なのでねっ……早く寝なくてはということですぐに配信を閉じた。正直、もっとやりたかったが、説教されるっ……。


次の日の夜

現在、もーねが自分の部屋にいる。

「そういえば、胡桃ちゃんとデートした時にさ」

そんな中、もーねが唐突に話を変えてきた。

「あぁ、建前上のデートのやつね」

胡桃さんが、はなさんを嫉妬させるという目的のためにデートしたあの日のことか。

「盗聴k……げふんげふん……風の噂で聞いたんだけど、胡桃ちゃんとキスしたの?」

なんか、不穏な単語が聞こえた気がするけど…まぁウッドエレメンタルか。

「してないよ?いやまぁ、どこかではなさんやもーねが見てるかもしれなかったから、キス…にはたから見れば見えるぐらいまで唇を近づけただけだよ?」

実際に、めっちゃドキドキはしたものの、キスはしていない。何とかファーストだけは守りきった……。


※あえかは気づいていませんが、ファーストキスは既にもーねとしています。(参照 1期 11話)


「なんだぁ…ほっとした」

……?なんでもーねがほっとするんだろうか。

「まぁだから、キスはしてないよ」

「ま、まぁ。最初は私ごにょごにょ」

「何をごにょごにょ言ってるの?」

最初とか…なんなんだ一体…?

「……っ!もしかしてもーねってキスしたことあるの!?最初ってそゆこと!?」

我ながら完璧すぎる推理だ……。

「っ!?いやまぁ、そうなんだけど……嘘は言ってないし…ごにょごにょ」

「私を誤魔化すことはできないよ」

「う、うーん……」

バレて動揺してるっぽい。

「それってお母さんとかお父さんとかでは無いよね?」

「う、うん」

……そう考えるともーねって親以外の誰かとキスしたことあるのか……一体誰なんだ……?

「今日、泊まってく?」

私はいつものようにもーねに聞く。

「えっ!?いいの?」

「いやまぁ別に…いつもの事だし、全然いいけど」

「泊まる!!」

もーねが元気よくそう言った。そんなに私の家に泊まれるのが嬉しいのか……?話し相手がいると楽しいし、そういうもんなのかな…。


「母さん、今日もーね泊まるから」

「はいよ」

ということでもーねが家に泊まることになった。

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