エィミアの警告
ふと、頭をよぎったのは、“守護使者”を倒して村に変える馬車の中の出来事だ。ヘリオは、無断で追いかけてきたことを怒られるとおもってびくびくしていた。
だが、ケローネはむしろ自分よりも落ち込んでいるようだった。
「ついに来たかとおもったよ」
「え?」
「こんな時が来ると思ったんだ、力を使わせたくなかった……“魔女”の兆候らしきものはわかっていたから、“魔女”は生まれながらに魔力を有するツノをもち、そして、力の解放とともに、そのツノは光を放ち始める」
「なんのこと?」
「いずれわかる」
「ケローネ……ごめん」
「……」
ケローネは何も言わず、そっぽを向いていた。
突如、頭にエィミアの声が響いた。
『ヘリオ、剣が……』
「ん?」
剣を見るが、特段変わった様子はない、だが確かに手に感じる感覚から違和感を覚えた。熱い、やけに熱い気がする。
『ヘリオ、長くはもたないわ、私が貴方の手を水分で覆っているからなんとかなっているけど、この剣……“燃えている”』
「お前……つくづくめでたい奴だな……お前が“ツノ持ち”だという事を、誰が教会にリークしたと思うノだ」
ヘリオは返事をしなかった。変わりにエィミアが警告する。
『ねえ、あいつ多分右手に刀を隠してるよ……さっき“水”で察知したの』
「ふぅん、じゃあ丁度いいね」
『丁度いいって何が?』
「いいから、言う通りにして」
『よほど自信があるのね』
魔装核兵ははあ、とため息をついた。
「いいだろう、お前は“殺し”て、“実験材料”にしよう、そういう運命なのだろう」
その時、エイブスの腹に刺さった剣をひきぬいた魔装核兵、ヘリオがいった。エイブスはうごめいたが、すぐにネーラが応急処置をしていた。そのため血はそれほど流れなかった。
「さっきの“遠隔操作”は長くは使えないようね」
「だからドウシタ、もはや正々堂々とイコウ」
「フン……」
ヘリオの表情に浮かぶその自信に魔装核兵は、苦い顔をした。
「お前、鍛練もセズ、人間が人間性を捨てられると思うのか、誰にだって情はある、人をコロシテはイケナいとか、殺す前のためらいだとか」
「ないね」
「なんだと?」
「お前は罪を犯した、そんな人間に、ためらう必要はない、私も罪を犯せばいいだけだ」
会話の隙をついて、ヘリオは突進をする。魔装核兵は身構えた。
《ガキンッ、ガキンッ》
左脇、右肩と剣をふるい、それを魔装核兵が諸刃の剣でさける。しかし、魔装核兵は違和感を感じた。
「お前、いくらナンデも、私を切れないからといって、その太刀筋はめちゃくちゃデハ、諦めて、いるのか?」
「……ない!!」
突然ヘリオが顔を近づけてきたかとおもいきや、頭突きをくらわせた。
《ドスン!!》
その瞬間、ヘリオのその剣が赤くそまった。
「今だ!!!」
そう叫んだヘリオ、しかし姿勢が崩れたとはいえ、その崩れるままに、魔装核兵は諸刃の剣でそれをうけた。
《ガキンッ……》
その瞬間、諸刃は切りつけられた箇所が欠けた。ヘリオが下から上へ切りつけたせいで、鍔にあたり、そのまま剣は上空に飛ばされた。
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