魔装核兵の正体 リーダー“ゲリン”

《ブシャアッ》

 魔装核兵はほとんど後ろを見もせずに、背後からやってきたレネの幻影を切り裂いた。

「小細工は無用だ、それに“火は火でしか倒せない”常識だ」

(そうだ、炎のスキルが最強とされる理由がそこにある、レネとも先程、そのことで話し合っていたのだ)

 エィミアがささやいた。

『まずい、こいつ本当に強いわよ!!』

 魔装核兵は剣を収めた。

「お前は、いまお前が関わっている組織の事を知っているのか?」

「何が?」

「“レッドウィッカ”だよ……悪名だかき組織だ、しかし、理念は優れたものだ、魔女を育成し……その定めから解放する」

「定めって何なの?」

「定めとは“暴走”だ、魔女は力が“発現”すると、自分の意思では制御できない力の暴走がおこる、そのための、魔女を育成、修練をする組織だ」

「何も悪い事じゃないじゃない、どうして領主の側についたの?」

「フフフ、ハハハ」

 魔装核兵は口を押えてわらった、その兜の奥から、光る瞳にまじって、何か恐ろしいものが見えた気がした。

「私もお前のように、レッドウィッカに連れ去られたものだ、世間では赤いツノ”が生えたものは魔女だという、その頃は魔女に対する偏見と差別は、とても今よりひどかった、私も村で毛嫌いされていたので、レッドウィッカに所属してから希望を胸に修練し、己の鍛練に励んだ、その時のリーダー“ゲリン”はカリスマ性があった、魔女への偏見をなくそうだの、なんだのといってな、だが……」

 ヘリオは、フードの上から自分の頭の左上をおさえた。

「私は徐々に気付いていった、たしかにレッドウィッカで鍛練を組んだものの中には力を制御し、魔女のために、そして世界の役にたち働くものがいる、だが反面、そうでないものは、途中で息絶えたり、ひどい時は行方不明になったものだ、それでも疑問に思わなかったよ、あの時までは」

「あの時?」

「ああ、私はリーダーのゲリンに恋心をもっており、彼を時折尾行したのだ、いつも尾行は途中で失敗したが、ある夜、ゲリンが若い魔女たちをはべらせて自室で酔っているのをみた、それだけなら、ただの嫉妬でかまわなかっただろうが、朝方のことだ、ゲリンはまるで酔った様子もなく、付き人に何かをてきぱきと命令していた、付き人たちは、若い魔女たちを図多袋に詰め込んだ、そして、ゲリンは恐ろしいことをくちにした」


【早く売ってしまえ、どうせ何の役にも立たないやつらだ……資金不足なんだ、売れば金になる】

「私は、その日の夜、レッドウィッカを抜け出した。そして、レッドウィッカが、何をしているのかをしった、彼らは、魔女の研究をする組織に“使えない魔女”を売り、収入を得ていたのだ」

 




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