交渉 レッドウィッカ

 馬車は突然急停止した。

「ゴブリンの群れだー!!」

 ニヨネが大声で叫んだ。追いかけていた魔装核兵は、ふとゆっくりとあゆみ、馬車の一行の動向をみた。ゴブリンは、ほとんど一人が相手をしている。

《ガサッ》

 森から音がした。

「何モノだ」

 姿を現したのは、レネだった。

「あのノロマな大魔導士はまだしも、お前は振り切ることができないと踏んでね」

「フン、いい判断だ、オイ」

 とアゴで合図をすると、どこからか馬車があらわれ、その馬車の中からケローネが姿を現した。

「ヘリオに伝えろ、我々の“仲間”になれば、ケローネの安全は保障するが、次はないと」

「ああ、いいだろう、だがその前に……」

 馬車のあたりから、炎の爆撃が発射された。すんでのところで飛び上がって避ける。

「キサマら、何を……」

「ごめんなさいねえ、ヘリオ?っていうクズは、今てが話せなくて」

 そういいながら、ネーラは次の爆撃を放つ。しかし、魔装核兵は、すぐさま標準をかえた。ネーラに突進し、ネーラの首に剣をつきたてる。


 その時、ヘリオがようやくこちらにかけつけて、騒ぎをみた。

「まったく、何をてまどっているんだか」

 ヘリオは、右手を差し出した。

「エィミア」

「わかってるって」

 ヘリオが脳内で会話すると、突然、くるったようにレネが叫んで敵に突撃した。敵は面くらっていたが、すぐに何が起きたかをさっした。レネは突撃したかと思うと、魔装核兵が切りつけると、水のようにはじけてきえた。

「くそ!!ハカッタナ!!」

 魔装核兵は怒りにまかせて、ヘリオにむかって突進しようとした。だが、その脇から、レネが突撃してきた。一人、また一人と、無数のレネが突進してくる。

「くそ、なんでこんな小娘が!!!大量に!!水源など……」

 そこで敵はきずいたようだった。はじけた水、夜の闇でわからなかったがどす黒く粘り気がある。

「ゴブリンの血か!!」

 いくつものレネを切り刻む。

「ウオォオオオオオ!!」

 やがてすべてのレネを切り裂いたあと、ヘリオに向かって剣先を突き付けた。しかし、ヘリオは微動だにしない。魔装核兵は、動きをとめた。

「あなたは私を殺せない」

「ナゼわかる」

「さあ、目でわかった」

「ふっ……戯言を」

「腹を割って話しましょう、あなたは、何が目的なの、どうして“ドューラ”に買われているの……」

「ふむ……イイダロウ」

 そう話しながらも、魔装核兵は魔力を集中して一点に向けていた。それは薄暗闇の月明りのした、気の影に隠れてういている、諸刃の剣があった。




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