神殿
町の北にある、“大神殿”にはこの街一番の神官、大神官であり権力者のドューラの住む家がある。神殿の裏手には、神官たちが暮らす建物があるのだが、その最奥に、ひときわ豪華な石造りの“楽園”があった。
「さあ、ヘリオ」
そういえわれて、ヘリオはベッドに寝かされる。“楽園”の隅の離れだが、この離れも来客用のものらしく家具がほとんどなく、こぎれいにされている、その綺麗なシーツの敷かれたベッドによこになると、ドューラはその部屋から立ち去った。頭がぼーっとする。先ほどまで、ケローネを追いかけていたはずだが、さっき食事で飲まされた水は、妙な味がした。
気分が悪いので、ヘリオはその日すぐに就寝した。その夜、何か妙な物音で目が覚める、寝苦しく寝返りをうって壁を向いた。その時、壁から音がする事に気が付き、めをあけた。瞬間、レンガのひとつがあいて、誰かがこちらを覗いている事に気がついた。
「うわっ!!!」
思わず大声を出しそうになったが、その目に見おぼえがあった。
「ヘリオ!!ヘリオ!!」
「あなた……レネ!!?なんであなたが……」
「ヘリオ、あなたはここから出た方がいいわ」
「でも私……魔女に狙われているって」
「狙っているのは“魔女”だけじゃない“魔女”の力は、強力な資源になる、あなたは“魔女の子”なのよ!!」
「え?」
頭が混乱した。レネは何をいっているんだろう。自分を嫌がらせするためにここにきたんだろうか?
「いいから、いま扉をあけるから、でておいで……出たらすべてがわかる」
そういわれ、支度をすると扉をあける。とそこには、見覚えのある人間がいた。
「エイブス!!」
「よっ!!」
「なんで……」
「それはいい、とりあえずここをぬけなければ……“神殿”の城壁はかなり厳重な魔法結界がある、俺たちは、屋根の上をのぼってここまできたんだ」
「それって?」
「そうだ、同じ方法で帰っていく」
エイブスは、ヘリオと、レネの腰にてをまわすと、突然言い放った。
「
突如、エイブスの足の裏に電撃が走ったかと思うと、それは衝撃に変わった。
その頃、大聖堂の隣の一室で、ドューラと一部の神父が食事をしながら会議をしていた。ふと、物音に気付いたが、あいにくその日は天候がわるかったので、ドューラが
「落雷だろう」
とつぶやいた。そして、会議は進んだ。
丁度屋根上から、ヘリオがその様子を見下ろす。そして、奇妙なものを発見した。鎧をつけた兵士が、魔法使いのローブを背負っている。
「あれは何?」
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