葛藤

 朝から外が騒がしくて、ヘリオは目を覚ました。目を覚ますと、医者のダルヴィーが、ちょうど自分の様子を見に来ているところだった。

「ダルヴィーさん、一体なにが」

「ん?いいえ、何でもないわ、ただあなたの“功績”についてギルドが慌ただしくしているだけよ、すぐに“怪物”の死骸を回収しにいくんだって、それよりあなたは療養に集中して、あと30分後に“ヒーラー”を呼ぶわ」

 ヒーラーとは、回復魔術専門の職業のことである。回復魔法を使える魔法使いはいれど、それは応急処置的なものから、専門的なものまでさまざま、だが病院や町には専門なヒーラーがいる。

「よろしくお願いします」

 ぼーっと今までの出来事を思い返していたらあっという間にその時がきて、治療がはじまった。ヒーラーはやさしそうなお姉さんで、私の様子になぜかとまどいながらも、治療をおえた。治療がおわると、ダルヴィーとヒーラーが何かをはなしていた。

「普通のステータスとは違いますよ」

「どう違うの?」

「普通のステータスでは、魔力量の値は1,1ときまっています、彼女のステータスは、ひどくひくいのに魔力量は、100以上ありますよ」

「……」

 そんなような事を言っていた気がするのだが、魔力を使いすぎたせいか、わりとどうでもよかった。ふと、魔力リングに目を向けると、おもむろにいった。

「ステータス」

【LV5】

【HP530】

【MP30】

【STR30】

【INT30】

【DEF30】

【RES1000】

【加護スキル”水操作”】

【加護スキル"水吸引"】

NEW.【限定スキル“スレイヴ(模倣)”】

(スレイヴ?模倣?何のことだろう?)そう思いながら、体を起こし、病院を出る準備をととのえる。支払いをすませ、医者に礼をいったあと町にでると、いつものにぎやかさもなく、静寂につつまれていた。

(何だ?これは普通じゃないぞ……)

 ふきつける風がやけに冷たい。ヘリオは、異変を感じ、その足である場所に向かうことにした。

 


「誘拐!?」

 ニヨネに会いに行くと、彼女は不在で変わりにニヨネの母親がでてきた。

「そうなのよ、例の魔女のせいよ、皆そういってるわ、こんな紙もあるし」

「魔女?魔女って……」

「ああ、あなたはしらなかったのよね、それもそうだわ、あなたが町に戻るすぐ前に“魔女”が現れて、暴れたのよ、一人が犠牲になったって……まだ誰だかわからないけれど」

「うーん」

 ニヨネの母に手渡された紙をみると、そこには

「セレェナを渡せ、彼女が元気になったら“敵”よりも早く、渡すことだ、さもなければこの街の人々と人質の命はない」




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