圧縮。
"守護使者"はケローネに近づいていく。だが、どこか体に違和感を感じた。しっぽが重い、そして、足も重い気がした。下を見る、粘液が少したれていた。
(久々に魔力を使いすぎたのだろう)
気にせずに、守護使者はケローネにてをのばし、両手でつかんだ。そして、もちあげて、思い切り力をいれてギュウと引き絞った。
「グゥウ、グゥウウウ!!!」
「アアアアア!!!いでえええ!」
叫びながら力をいれる。これでは、人たまりもないだろう、ブチブチと体がきれるおとと、体の部位のどこかが、地面に落ちるのを感じた。
「やめてえええええ!!」
耐えきれず叫ぶヘリオ。
「ぐぅわああああああああ!!!」
叫ぶケローネ。しかしその声の出どころにどこか違和感があった。
「??」
下を見下ろす"守護使者"みると、ケローネは木陰にかくれて、悲鳴をだしている。目を自分の手の中に戻す。そこには"水"でできたケローネそっくりの体があった。魔力による調整によって水はいろどられて、本物そっくりにできていた。
「クフ……クフフフ」
"守護使者"の背後で、誰かがわらっていた。
「お人形さんあそび?いい年して、頭もあるのに、はずかしい」
そこには、水におおわれて、笑い声をあげるヘリオがいた。
「何を……お前、なぜ……声が通るのだ……」
「さあね、私が"水使い"だからじゃないかしら?」
「違う!!それだけではない!!さっきの”水の像”もお前がつくったものだろう!!お前、何ものだ!!何を隠している!!これほどの魔力、お前ごとき子供が使えるわけが……!!」
「さあ?何百年も生きている”怪物”が、お人形遊びするくらいだもの、世間はわからない事だらけよ」
「貴様あぁぁぁ!!!!」
勢いよく助走をつけた、その瞬間だった。後ろ向きに何かにひっぱられる。いや地面そのものがまとわりつくようだった。見下ろす、自分の足としっぽに粘液がついてうる。しかしそれは自分の意思で操っているのではない。
《ドロリ》
自分の手の中をみた。その手の中、先ほどまでケローネをかたどっていたそれは、
自分の粘液であったことに気づく。
「馬鹿な!!」
「そうね、あなた、知能があるのに気づくのが遅いわね」
「そんな!!バカな!!私の種族の粘液を操れる”高位”の魔術など、聞いたことはない!!」
「じゃあ、今、知るのよ」
エィミアが、しっぽの影から、敵の体の中心を一直線に”粘液”を操作した。そこに”空洞”が出来たが、敵は気が付いていない。ヘリオは、剣を取り出した。その剣は、赤々と燃えている。
「何を、何をする気だああ!!!」
ヘリオは、剣に全身全霊の力をこめた。剣は周囲の水を蒸発させた。
(水と粘液を入れ替えたのか!!!)
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