覚醒

 ギロリ、とヘリオがエィミアをにらんだ。たじろいだものの、続けるほかなかった。

『ヘリオ……あなたは"殺す"必要なんてないわ、私たちがなんとかする、苦しませずにやる、だから、お願い、今は……』

「……」

 "守護使者"は低くうなると、すさまじい、霧のような水を吐き出す。

「シュゥウウウ」

 そして次の瞬間、けたたましく地面をけり、ヘリオに突進をしていた。

《ドスドスドスダス!!》


『ヘリオ!!』

 身構えるヘリオ、どこで拾ったか、小さな盾をかまえると、叫んだ。

「わかったわよ!!ラッシュ!!!"こいつを倒したら肉をやる!!力を貸して!!"」

『しょうがねえなあ!!』

 肩から、蛇の”ラッシュ”が顔を表した、だがすでに、"守護使者"のぬめりのある右腕はしたからつきだされ、突き上げられていた。

《ズン!!》

 すさまじい一撃をうけ、ヘリオは宙に放りだされた。

『ラッシュ!!!』

『す、すまねえ姉御!!!だが今度こそ!!やってやるからよ!!こいつは気に入らねえが!!俺はやってやるぜ!!』

 ラッシュがそう叫んだ瞬間だった。ヘリオの脳内に、突然"異変"が現れた。

【LV2】

【HP510】

【MP10】

【STR10】

【INT10】

【DEF10】

【RES1000】

NEW.【加護スキル”水操作”】

NEW.【加護スキル"水吸引"】

 頭が割れそうな痛みとともに、全身に魔力の流れの乱れを感じる。HP10、ほとんどは9ほどレベルがあがっている。頭痛に耐えながら片目をゆっくりあける、炎の短剣をとりだし、見下ろして驚いた。

《ズゥウウン》

 たしかに“守護使者”巨大なケルピーは、やはりその異様な迫力をもって佇んではいるもの、彼を守る"粘液"が無くなっている。そしれ彼自身、おどろいたように、手や足をうごかし、状態を確認しているのだ。

『まさか……こんな子供が"高等水使い"であろうはずもない!!』

 ケルピーは雄たけびを上げた。すると、倒れているケルピーたちから魔力(オーブ)と、粘液がケルピーに集まっていくのだった。

『にやり』

 と笑って、"守護使者"は右手をひきしぼると、おもいきりとびあがった。

『ラッシュ!!』

『わかってる!!姉御!!』

 ケルピーは、右手で思い切りヘリオを殴りつけた。ヘリオはつきとばされ、数十メートル先に転がった。なんとか、エィミアがつくった”水のベッド”で衝撃を殺したものの、体にはダメージが残った。

「大丈夫、やれるでしょ」

『まって』

とエィミア

『逃げた方がいい』

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