第15話 グラビトン
魔剣『グラビトン』。
それがこの両手斧の名前。
めちゃくちゃ強くてカッコ良さそう。
「分かっている特殊効果は一つ。 重加だぁ。 剣の達人はなぁ、剣に自身の体重を乗せられるっていう話しだが、こいつは特殊能力でそれをやってくれるぞぉ」
「おお!」
誰でも達人技が使えるってことじゃないですか!
周りの野次馬もほぉっ、と感心しているようだ。
俺は金貨50枚をバンダナおじさんに差し出す。
いい買い物しちゃったんじゃないのぉコレ!
「ただし、実際に両手斧自体が重くなるんだよなぁ……」
「ん? どう違うブヒ?」
「実際の剣の達人の技は剣が重くなるわけじゃないってことさぁ。 まぁよく知らないけどな!」
カハハと笑ってごまかすバンダナおじさん。
すでに金貨はしまっていやがる。
まぁどうせあぶく銭だし、この両手斧めちゃくちゃカッコイイし別にいいけど。
ポンメイさんにはやく自慢したいな。
「属性的には土だなぁ」
「へぇ?」
バンダナおじさんの露店でさらに食料も購入。
保存の効く固いパンとドライフルーツだ。
一定時間ごとに水の溜まる水筒も購入した。
魔力を籠めればいいらしい。
俺の魔力はゼロだけど、スキル【CP獲得・変換】でCPを魔力へと変換できるみたい。 これでギルドカードにも魔力を流せたのだろう。
「どのくらい溜まったかわかるから、便利だぞぉ」
金貨1枚10万ギルで購入。
地球にあったら水不足問題が解決しそうだな。
まぁ魔力がないんだけどね。地球には。
さて、武器も道具も揃ったし迷宮にでもいってこようかな?
ポーメリウス迷宮都市。
その中心にはその名についている通り、ポーメリウス迷宮が存在するらしいのだ。
どんなものなのか様子見で行ってみよう!
◇◆◇
ポーメリウス迷宮は人気のないダンジョンである。
一つに立地があまりよろしくないということ。
世界の果てとも中心とも呼ばれる世界樹の傍にあり、そこは他国の過度な干渉は許されない場所だ。
エルフという世界樹の恩恵を独占するいけ好かない種族。 人族や魔族などはエルフと対立している国もある。
見目麗しく不老長寿とさえ言われるほど長生きな種族。妬みや恨みは相当だろう。
あまり多くの戦力を都市に送れば警戒される。
エルフとエルフを警戒する大国の緩衝地帯でもあるのだ。
それにダンジョンとしての恩恵もあまりない。
ダンジョンの特産品は果物。
ダンジョンの周囲への影響もそうだ。 果物や作物の成長がよくなるくらい。
その割にダンジョンの難易度は高い。
ダンジョン内部はフィールド型である。
それは小さな島国ほどあるのではといわれているほど大きいらしい。
らしいとは、そもそも探索があまり進んでいないのだ。
比較的に新しい迷宮都市であり、エルフの事情もある。
さらにダンジョンとしての旨みもなく難易度は高い。
つまり冒険者にとってはハズレダンジョンであり、わざわざ片田舎にきてまで迷宮攻略をしようとは思わないということだ。
こんなところで迷宮探索をしようなんて物好きは、どこかでへまをして追い出された中年か、田舎の村からでてきたら少年少女たちか、エルフが迷宮に入っていることを調査する各国の調査員たちかだ。
果たして、迷宮には無縁の異世界フードファイターはこの迷宮で何をなすのだろうか?
それは神のみぞ知るのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます