sideアリア 新婚なのに、旦那様が愛人の子を連れてきた!?

 アリア・アデール改め、アリア・ブラント。18歳。

 1か月ほど前に結婚したばかりの新婚ほやほやの彼女は、旦那に対する怒りを高めに高めていた。


 アリアの夫の名は、レオンハルト・ブラント。

 彼は公爵家の嫡男で、アリアは没落伯爵家の娘。いわゆる格差婚だった。

 結婚を申し込んできたのはブラント公爵家のほうだが、二人のあいだに面識はなく。

 結婚式当日に、初めて顔を合わせたぐらいだ。

 アリアは、どうして彼が自分に結婚を申し込んできたのか、さっぱりわからないままだった。


 けれども結婚式のときの彼は、とても紳士で、丁寧で、優しくて。

 謎だらけの結婚で、家同士の繋がりがあったわけでもない相手だが、きっとよい家庭が築けるだろうと期待した。

 しかし、式を終え、公爵家の屋敷に向かう馬車で二人きりになった途端、夫は豹変した。

 明らかに態度が悪くなり、夫婦の愛になど期待するな、なんてことまで言ってきたのだ。

 さらには初夜も拒絶され、屋敷や使用人の管理といった奥様としての仕事を任せてもらえることもなく。

 まだ新婚だというのに、アリアは怒りと屈辱で内心旦那にブチ切れまくっていた。


 そして、さらには。

 女性向けの贈り物や、子供用品が大量に保管されている部屋まで見つけてしまって。

 自分に冷たく接する旦那には、愛人と隠し子がいるのではないか。

 新妻のアリアは、そんな疑念を深めていった。


 今日こそ、旦那を問い詰めてやろう。

 そんなことを考えて夫の帰りを待ち構えていた日。

 玄関の扉が開いた先には――4、5歳ほどの子供を抱きかかえた夫の姿があった。

 まさか、愛人の子を突然連れてくるとは思わなくて。あまりのことに、アリアは言葉を失った。

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