6日 チラチラ星のおかえり
『ちょっとずつ賑やかになってきたね!』
『干されるスペースが無くなるから、こんくらいでいいぞ』
『駄目だよ。これから兄弟たちも来るんだから』
ツリーも随分と賑わしくなっている。
マリちゃんは、それを眺めてくすりと笑った。
そうして12月6日。
マリちゃんは、誰よりも早く起き出し、急いでカレンダーを開けに行った。
紙とキリトリ線で出来た扉が、ぱつッと音を立てて開く。
「えっ?」
中は、空っぽではなかった。
『た、ただいま。マリちゃん』
そこには、銀色の星が転がっていた。
反対の壁には、やっぱり穴が空いていて、その先はショッピングモールに繋がっている。
「帰ってきてくれたの!」
『うん。人が多くて怖くなっちゃって』
銀色の星は、はにかむようにチラチラと瞬いた。
「あそこ、すごく混むもんね」
ショッピングモールの景色を横目に、マリちゃんは頷く。そこは、マリちゃんも家族でよく行く場所だった。
『あ、でも広場の大きなツリーは見たよ。
てっぺんのお星さま、すごく綺麗だった』
「わたしも見たよ。すごかったよね!」
『いつか、あんな風になれるかなぁ』
銀の星が、カラコロと転がる。
「てっぺんに飾られたいの?」
『う、うん。本当のこと言うとね』
『そいつぁ無理な話だろ』
ツリーに飾られた靴下が、大きく揺れた。
『てっぺんは金星の旦那がいるじゃねえか』
『確かに、その星にはちょっと荷が重いかもしれないね』
人形も、隣で揺れた。
『や、やっぱり務まらないかな』
「わたしは良いと思うんだけど」
『じゃあ、金星さんにお願いするのは?』
人形がぴこぴこ揺れるので、マリちゃんも首を縦に振った。
「うん! きっと真剣にお願いしたら聞いてくれるわ!」
『で、金星さんはどこに?』
「……それは、まだ分からないけど」
青い玉の言葉に詰まりつつも、マリちゃんは宣言する。
「金星さんにあったら、あなたの代わりにお願いしてあげるわ! 約束!」
『う、うん。約束!』
銀色の星は、はにかむように瞬いた。
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