12月24日 野生との付き合い方(第八部 下した決断)
去年、「グレムリン」という昔の映画がテレビで放送されていました。たぶんクリスマス時期だった気がします。この映画は「ホーム・アローン」のように季節イベント的な映画で、それ以外の季節に放送されると、気が萎えてしまいます。(^_^;)
地上波でこの映画が放送されるのっていつぶりだったんでしょう?
私はこの映画を最初に観た時にすごく怖かった思い出があるので、恐る恐る見ていました。職場の人は、あの当時の技術でどうやってグレムリンを動かしていたのか考えていたら、映画に集中できなくて怖くなかったと言っておりました。(^_^;)
この映画を見ている時、高校の生物の先生の言葉をふと思い出したんです。
「核ミサイル、地震とか怖いものは色々あるけど、生態系が変わる事も最大級の恐怖かもしれない」という言葉。
生態系ってその当時は漠然とした感じで、その意味がはっきりとはイメージできませんでした。
去年、「グレムリン」を見て、ああこんな事なのかと、その怖さを実感できた気がします。そこまで待たないといけないのかって感じですが。
そしてこの映画、微妙に「ラスカル」のお話と似た感じの要素が散りばめられているんですよね。
まず可愛いというだけで、生育が難しいという生き物を連れて帰ってしまう。「グレムリン」では半ば騙すようにして買っていきます。旅先の中国で出店の店主がこれは売り物ではないと言っているのにも関わらず、店主が、店を離れた途端、子どもにお金を渡し、モグアイという未知の生き物を簡単な説明だけで連れ帰ってしまうのです。
スターリングも、ひと目見て気に入ったアライグマの赤ちゃんを無理やり森から連れて帰ってしまいました。アライグマの生態もよく分かっていなかったのに。
そしてどちらの場合も食べ物の与え方を誤り面倒な事になってしまうし、見かけに寄らず実は凶暴なのです。グレムリンは真夜中以降に食べ物をあげてはいけない事になっていました。
また、野生のアライグマは、スイートコーンの味を一度味わうと、周辺のとうもろこし畑を荒らし始めます。
どちらも自ら抑える事の出来ない生まれながらの本質でした。
北海道で牛を襲ったヒグマOSO18の行動は、鹿の死骸の放置により、鹿肉を食す事になったのが原因とも言われています。
映画「グレムリン」では、そんなある街のクリスマスの騒動をある時はホラー、ある時はコメディタッチに描いていました。
こんな風に共通項がある所をみると、野生の動物の赤ちゃんを連れ帰って育てた経験ってアメリカの田舎の子どもだと珍しい事じゃなかったのかなぁと思えます。
映画では、ラストで中国人の店主が家にモグアイを引き取りに来ます。何か警告めいた事を言っていた…ような。
大人になったラスカルも、スターリングにより、森に放されます。
野生のものはどこまでも野生。たとえどんなに可愛く見えても、決して持ち帰ったり、その伝統的な食生活を一気に変えてしまうような物を口にさせてはいけない……と思います。
特に優しい人は気をつけなくてはいけないですね。
本も米国でベストセラーになり、ディズニー映画となり、日本でアニメーションも人気となったのは、みんなそれなりに何か痛いところを突かれる部分があるからなんだと思います。
その何か……は、別れの経験でしょうか。
可愛かったペット、家族、それ以外の誰かに自ら別れを告げなければならなかった経験。
また、逆に別れを告げられた経験。その別れの中には、よくしてくれた人に恩返しできず、可愛いばかりでいられなくて傷つけた思い出も含まれますね。
少なくとも自分はそうです。
結局、人間はどちらかと言うと野生に近いんだなと思ったりもします。
冬までは、この幸せな日々がいつまでも続くと信じていたスターリングも春の訪れとともに、ラスカルとの関係性が変わってくるのを感じます。スターリングが注意しても、その内容が理解できているのにも関わらず、言う事をきかなくなったのです。元々、ラスカルは自分をペットだとは考えていないですからね。
また森に住む雌のアライグマのトレモロのような鳴き声に気を取られるようになりました。ラスカルにとってはもうスターリングは、唯一の大好きな相手ではなくなったのですね。何かその哀しい気持ち、分かる気がします。
でもラスカルをずっとオリの中に入れておく事は、スターリングの気持ちの中では有り得ませんでした。
そしてスターリングか出した決断は、ラスカルに自ら決めさせる事だったのです。
その時、苦戦していたカヌーは、やっと出来上がっていたのです。
アドベントカレンダーの最終の扉へと続きます。
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