12月11日  星座(第三部 圧倒する自然)

 八月の旅は二週間と長く、でもホテルに泊まる事なく、キャンプをします。ちゃんとしたテント等は持っていないので、車、木の枝を利用し、ハンモックで寝るのです。ここも楽しそうで憧れます。夜、外を大きな鳥が飛んでいたり、少し怖いのですが。(^_^;)

 途中、釣りをしていて老人と出会い、彼の大きな屋敷に誘われる以外は、基本、野外生活です。

 スターリング少年は、キャンプ地である夜、夜空を見上げ、お母さんがまだ生きていた幼い頃、星について教えてくれた事を思い出します。

 北極星を中心に星は回転している事。幼い息子を残して亡くなったお母さんはとても悲しかったでしょうけど、こういう事を息子の記憶に残しておける母というのは素敵ですね。

 そしてその時見上げた星空は、日本の都会で見るのとは比べ物にならない程の美しさだったのでしょう。


 北極星の横におおぐま座という星座がある事、これは別な場面でも出てきます。ラスカルに首輪を付け、檻に入れなくてはいけないと言われ、悲しい気分になっていた頃の事。スターリングはよく樫の木の枝に登り、ラスカルと一緒に過ごしていました。


 夜空を見上げ、スターリングはラスカルに向かい、母親から聞いた話を伝えようとします。そして突然、悲しい気持ちにとらわれます。

“あのおおぐま座が僕で、横のこぐま座がラスカル。僕らがたとえこの世からいつか、いなくなった後でも、僕らは空を仲良く走り続けるだろう”と。切ないです。このまま一緒には暮らせないかもしれない、という不安がその頃から漠然とあったのでしょうか。

 作者の死後、この一年間の出来事が日本でアニメーションとなり、今でもキャラクター商品、ラインのスタンプで少年の頃のスターリングとラスカルがじゃれ合っている絵が世の中に出回っています。

 ”僕らがたとえいつかこの世からいなくなっても”というスターリングの空想はある意味、真実になったのですね。運命の不思議を感じます。









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