12月4日   ラスカルと音楽(第一部 可愛すぎる同居人)

 最近、カセットテープが見直され、若者層に人気があるのだとか。製造を再開しているメーカーもあるみたいです。

 人気の理由は、アナログ音源はデジタル音源に比べ、「音が優しいから」だとか。分かる気がします。私自身、コロナ療養中に、いつも楽しんでいる動画サイトの音楽が何だか耳に痛く感じられました。スマートフォンで聞けるラジオもダメでした。

 その経験以来、懐かしいカセットテープの音楽に、今一度、興味を持ち始めています。昔風のレコードプレーヤーも同じ理由で興味はありますが、それよりカセットテープの方が手軽な気がします。また、最近、ドラマの再放送や映画の中でカセットテープが効果的に、センシティブに使われているのを見て、なおのこと興味を唆られました。


 ラスカルのお話の中にも、ラスカルが、音楽をこよなく愛すシーンがあります。      

 そして同時に、敏感なラスカルだからこそ耐えられない音楽もあったのです。

 まずラスカルの好きな音楽は、「長い長いくねった道」(There’s a Long,Long Trail A-winding.)で、これは、当時、大流行した歌らしいです。(動画サイトで聞けるので、興味のある方はどうぞ)

 手巻きのヴィクトローラでこの曲をかけると、夢見るような眼をし、きちんと居住まいを正して聴き入るというエピソードが出てきます。

 一方、ラスカルの苦手な音楽は、ソプラノ歌手の歌。単なる好みの問題でなく、ソプラノ歌手の高い歌声は、ラスカルの敏感な耳には刺激が強すぎるみたいなのです。これ、ちょっと分かる気がします。

 ラスカルの耳が敏感である証拠に、洗濯屋さん(ラスカルにペパーミントキャンディーをくれる)がやって来る、ずいぶん前から、ラスカルは喜んで迎える準備をしています。この事についてスターリングは、きっと遠くから聞こえる僅かな荷車の音で洗濯屋さんの荷車が近付いている事を知るんだろうと推察しています。


 ペットが、ある曲に反応し、喜ぶというのは、動画紹介番組でも時々ありますよね。

 でもペットだけでなく、野生の動物にもそれが当てはまるというのは、不思議な気がします。

 以前、ニュースで地元の農家が、カラスよけにベートーベンの曲を大きな音量で流すというのを見た事があります。音の高低差のある音楽がカラスにはストレスになるというのです。働いている人には不評で、ポップス等、他の音楽にしてほしいとの声多数。でもポップスは、カラスも好むのだそうで。(^_^;)


 人間と共存が難しい野生の動物と、音楽の趣味があったりするのは、本当に不思議でもあり、また希望も感じさせてくれます。音楽というのは、全ての生き物を結び付ける力がある、考えている以上にスゴいものなのか?……なんて感じてしまいます。



 ちなみに、先ほど言及しましたカセットテープが効果的に、センシティブに使われている映画には、2022年公開のタイ映画、「プアン〜友達と呼ばせて」があります。

 白血病を宣告された青年がかつての友達と旅をするほろ苦い青春映画で、エンディングでカセットテープが流れ終わり、カチャンという音で終わるんです。

 音の優しさと同時に、カセットテープには、「流れ終わる」という所にも魅力を感じてしまいます。







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