12月3日 イチゴのソーダ水と角砂糖(第一部 可愛すぎる同居人)
アニメ版のファンが「あらいぐまラスカル」の名場面、忘れられないシーンを選ぶとしたら、どのようなシーンが上位にランクインするでしょうか。
人により好きな場面は様々だと思いますが、ファンにとって一番記憶に残るのは、おそらく最後の別れのシーンですよね。このシーンは、以前、コマーシャルでも使われています。(会議室でラスカルとスターリング少年の別れのシーンをVTRで見た唐沢寿明さんとGACKTさんが涙するという、缶コーヒーのCM)
ラスト以外で言うと、スターリング少年とラスカルのふれあいのシーンを好きなシーンたしてあげられる方が多いのではないでしょうか。
アニメ版、本当にラスカルを可愛く描いてますよね。実際のアライグマよりレッサーパンダに似た感じになっているのが気になりますが。(^_^;)
その可愛い仕草は、今でもラスカルのキャラクター商品に生かされています。
ただ、あまりにその仕草が可愛いので、これは事実でなく、アニメ版の虚構だろうと思われるシーンも多かったのではないでしょうか?
中でも印象的で、かつ実際にはなさそうな、つまりアニメで作り上げたっぽいシーンの中に……
①イチゴのソーダ水の瓶をあらいぐまラスカルが両手両足で持ち、飲むシーン
②もらった角砂糖をミルクで洗って飲もうとするがミルクに溶けてしまい、焦るあらいぐまラスカル
……が入っているのではないでしょうか?
実はこの二つはどちらも実際にあった出来事として本に書かれているんです。
まず、古き良き、というような田園風景の広がる中、移動にはまだまだ馬車も大いに利用されている、そんな時代背景です。これは、アニメ版からも分かります。
「そんな時代に炭酸飲料?」と思われるのではないでしょうか?
ですが、炭酸飲料の歴史は意外に古く、1800年代の半ばには北米では炭酸飲料が発売され、コークが発売されたのも19世紀なのです。
辺鄙な田舎でも、小売店でソーダ水を買う事ができたのですね。スターリング少年が釣りに行った自然溢れる場所でもイチゴのソーダ水は売られていましたし。ちなみに主人公である作者の誕生した翌年に、日本では三ツ矢サイダーが発売されています。
人間が飲むように、瓶を持って飲むというのは、アライグマが手足を器用に使う事が出来る証拠ですね。これは同じく、可愛いながらも害獣とされるリスの器用さにも当てはまります。
関係ないのですが、子どもの頃、私自身の赤ちゃんの時のエピソードで、「生まれて間もなく哺乳瓶を自分で持って飲んでた」というのを、親から大笑いされながら話されていました。何が可笑しいんだろうとよく思っていましたが、要は食い意地が張っていたという事なんだな、とラスカルのエピソードで分かりました。(^_^;)
角砂糖をもらってミルクの中で洗おうとしたというお話は、自分自身、好きなエピソードの一つです。
でも、二度目にもらった角砂糖をラスカルは、もうミルクで洗おうとせずに、そのまま口の中に放り込みます。ついさっきの行動が角砂糖を消滅させたのだと、ちゃんと理解できているんですね。
そして、何個も欲しがり、ついには砂糖の入っている蓋付きの容器を自分で開けるようになったのです。
こういった、一見可愛いものの、賢く手先が器用な点が、後々の悲劇に繋がると思うと、ちょっと切ないですね。
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