第22話

しかし抵抗はしなかった。

かすかな笑みを浮かべて京一の下腹部の茂みへと手を伸ばす。


服の上からでも京一のそれがそそり立っているのがわかる。

香澄は包み込むようにしてそこに触れ、そしてジッパーに指をかけた。


京一と一緒に仕事を始めてから3年ほど経過したときのことだった。

最初よりも随分人気が出てきてライブ会場に足を運んでくれるファンも増えていた。

しかし、それは同時に香澄へ攻撃できる人間も増えたということだった。


人気が出ればリスクは必ずついてくる。

香澄もそれを承知でこの仕事をしているつもりだった。

「香澄、大変だ!」


ある日、ライブの打ち合わせをする香澄の元に京一が駆けつけてきた。

手には何枚かの紙を持っているが、強く握り締めているだめすでにぐしゃぐしゃだ。

京一は香澄だけ廊下へ連れ出すと、その紙を見せてきた。


そこに写っていたは香澄だった。

その上全裸だ。

香澄は一瞬にして血の気が引いていくのを感じた。


咄嗟に紙を奪い取り、手の中でグシャグシャに丸めていた。

「これなに? どうして?」


混乱していてうまく質問ができない。

「落ち着け。これは偽ものの写真だ。合成写真だよ」


香澄の肩を抱いて京一はそう言った。

合成写真。

そういわれて香澄は少しだけ自分が落ち着いてくるのを感じた。


よかった。

どこかで隠し撮りをされていたわけじゃないんだ。

だけど同時に別の恐怖が襲い掛かってきた。


一体誰が、なんの目的でこんなことをしたのか?

誰かが香澄へ対して敵意を抱いていることは明白だ。

こんなことをするなんて、香澄を陥れようとしているのはみえみえだ。


「今サイトの管理者に削除要請を出している。すぐに消されるはずだけど、すでに拡散された可能性もある」

「そんな。それじゃ私はどうすればいいの?」


「香澄はなにも心配しなくていい。どうせ悪質なファンか、同じアイドルの仕業だ。香澄はいつもどおりステージに立つんだ」

そういわれてもそれは簡単なことじゃなかった。


誰かが自分を狙っている。

その思いは香澄の気持ちを沈みこませていった。

「大丈夫。俺がなんとかする。絶対に香澄を守るから」


京一の力強い言葉に香澄はうなづいた。

まだ顔色は悪かったが、京一の言葉なら信じることができる。


そして、その日のライブも成功させることができた。

この中に犯人がいるのかもしれないが、それでも京一がいてくれれば安心できた。

「あの時も私は守ってもらった」


京一の下腹部にじかに触れながら香澄は呟く。

でもその呟きは京一には聞こえていないようだ。

あの後、京一の働きかけによって合成写真を作った人物を特定することができた。

犯人は香澄の熱狂的なファンだった。


香澄の顔にグラビアアイドルやAV女優の体を当てはめて、自分で楽しんでいたらしい。

それが次第にみんなにも見てもらいたくなって、SNSに投稿してしまったようだ。

その人物はライブを出入り禁止になり、香澄に近づくことも許されなくなった。


そのすべてを手配してくれたのは、京一だった。

今、そんな京一の一番大切な部分に触れている。

とても熱く熱を持っていて、それがこんなにも愛しく感じる。


不意に京一の手が香澄の下腹部に延びてきた。

一瞬腰を引いたが、されるがままに身を増させる。


京一の指先は香澄の茂みを分け入り、湿った部分に触れる。

恥ずかしさを感じて香澄は京一から視線を外した。

京一の人差し指が香澄の入り口付近をなでて、思わず身震いをする。

「いいか?」


その質問に香澄は震えながらうなづいた。

そして次の瞬間、京一の指は香澄のソコにわけ入ってきたのだった。

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