#13
正直に言うと、ここでハティスの街に帰っても、
けど、それは絶対に嫌だった。ガキの感傷、といわれればそれまでだが、ここで名誉挽回しておかなければ、アリシアさんと一生対等ではいられなくなる。
結果選んだ作戦は、普通に考えれば最も愚かな策である。一度失敗した策を繰り返そうというのだから。
その作戦の内容は、要するに
ゴブリンが社会性に富み組織を有するというのなら、そのリーダーを叩けばあとは烏合の衆となる。群れ全体を相手にする必要はなく、現場指揮官であるゴブリン
言い訳になるが、
◇◆◇ ◆◇◆
そして夕暮れ、
全身に〔
しかし、最初の枝に乗ったとき、すぐ近くの枝にゴブリン(おそらく斥候せっこう)を見つけたので、アリシアさんから借りた
昼間の戦いでは、小剣で斬り付けても大したダメージを与えられず、突き刺したら筋肉に食い込み剣が抜けなくなった。だから。
昼間と同じく剣を
普通、斥候は
が。今回はこちらの作戦を知られることもまた作戦のうちなのだ。
昼間の戦闘だけで評価するのなら、俺たちは正面戦闘でゴブリンたちに勝てないから、村で籠城戦を選択すると思われるだろう。
ところが、いきなり斥候を瞬殺し、また尋常でない
そうなると、斥候が襲撃部隊と合流し、襲撃部隊が
結局正面戦闘なら、昼間と何が違う? と思うかもしれない。が、領主暗殺に成功すれば(つまり本陣まで襲撃部隊より先に
◇◆◇ ◆◇◆
方角は、村から見て昼の戦闘で包囲された地点の方向。距離は、おそらく包囲された地点が全行程のおおよそ三分の二、と考える。
昼間包囲された地点が、集落とは全く別の方角である可能性は、ない訳ではない。が、別の方角だとしたら、今更捜索する時間的余裕はない。連中は包囲戦術を確実なものにする為に、
多分に楽観論だが、今回は仕方がない。自身の失態を、自身の運で
だが、俺は運に見放されることはなかったようだ。
途中、襲撃部隊と行き違った。位置にして想定される全行程の五分の二の地点。ただ
そして、昼間包囲された地点を通過して少し。
そこにはちょっとした規模の村があった。
◇◆◇ ◆◇◆
これがゴブリンの集落だとしたら、根本から考え違いをしていたことになる。
当初想定は、100前後の小集落で、うち何割かが廃坑の
しかし、眼前の村がゴブリンの集落なら、少なく見積もって400~500の規模。うち、
そもそもこの村のゴブリンは、カラン村とはかなり友好的な関係だった。
それが、何らかの事情(それを究明することが俺たちの
つまり、残存兵力の100~200は、その“何らかの事情”の対処に当たっている。おそらくは、何らかの脅威から村を防衛する為に。
それを事前に知っていたら、もしかしたらこのゴブリンたちと共闘出来たかもしれない。話が通じない正体不明の脅威と、交渉の余地のあるゴブリンでは、当然ゴブリン側に肩入れすることになるだろうから。
けど、既に村が襲撃を受けた(俺たちもかなりコテンパンにやられた)。そうである以上、ある程度の借りを返してからでなければ、降伏と
という訳で、ゴブリン領主殿。残念だけど、死んでもらいます。
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