第33話 避妊紋


これでもう大丈夫!


半分ルンルン気分で宿屋に戻った。


「カイト達いるよね?」


「はい」


そのままカイト達の部屋に行き。


トントントン


快適にドアを叩く。


どうやら、思った以上にストレスになっていたようだ。


「開いているよ」


流石にさっきの今、ちゃんとしているよな。


「入るよ」


うん、流石に服は着ているな。


シーツは乱れているけど。


「カイト、マリア、リタ、リア……喜べーーっ! ハーレムパーティ申請して来てやったぞ! これでもう人目を気にしないでイチャイチャし放題だ!」


「「「「……」」」」


なんだかなぁ。


何故暗い顔になるんだ。


好きな者どうし、自由に愛し合えるなんて素晴らしいじゃないか?


「あの……なんでそんな暗い顔している訳?」


「いや、これで……なもう」


「「「そうそう」」」」


言いたくないが言わなきゃならないのか?


「あのな、お前等最低だぞ! お互いに好きでもないのにイチャコラしてた訳? 俺に言われたからって好きでもない奴相手にヤレちゃうんだ! カイトは兎も角、他の三人はビッチとか言われるぞ!」


「「「えっ」」」


なんでこうも解らないんだろう。


「だってそうだろう? 今でも貴族との婚姻に未練があるなら、それはカイトが好きでもないのに抱かれたという事になるじゃないか? 顔が良ければ誰でも良いのか? それはビッチだ!」


「違うわ……私はちゃんとカイトを好きよ」


「そうだよ……」


「私だって、そうよ!」


「本当? それなら良かった。それじゃ4人とも行こうか?」


「行こうかって何処に行くんだ!」


「何処に行くのよ!」


「買い物か何かかな?」


「まぁ、良いよ! つき合ってあげるよ」


「それじゃいこうか!」


俺はカイト達を連れて街に出た。


◆◆◆


「此処は……奴隷商……どうして此処に?」


俺は四人を連れて奴隷商に来ている。


勿論……目的は……


「いやだなぁ。四人は勇者パーティなんだから、妊娠しちゃ不味いだろう? だから避妊紋を刻んで貰うんだよ! これで好きなだけやりまくれるな」


「それはカイトにだけ刻めば良いんじゃない?」


「いや、この際だから全員刻んだ方が良いよ……言いにくいけど万が一ゴブリンやオークとかにな……」


「そうね、そういう事なら、刻んでおこうかしら」


「万が一の為にね」


「確かに……」


苗床とは流石に言いたくはない。


尤も、彼女達が苗床になる様な事になれば、そこで旅は終わる。


だから、必要は無いかも知れない。


だが、俺は彼女達を本当の意味で信頼して無い。


もし、イケメンに口説かれたり、貴族の美男子に口説かれ体を許し子供が出来てしまったら『相手が可愛そうだ』


『魔王討伐の旅』の邪魔をしたと言う事で……貴族でも厳罰。


平民なら、最悪死刑になる事もある。


だから、俺は彼女達にも奴隷紋を勧めた。


「あれ、あんたはこの間の……」


「今日は、この4人に避妊紋を刻んで欲しくてね、お願いします」


「その方たちは勇者様では?」


「そうだけど。ハーレムパーティの申請をしてきたから問題は無いから大丈夫です。宜しくお願い致します」


「そうですか、確かにハーレムパーティなら必要ですな」


「「「「……」」」」


顔を赤くして黙っているし……


まぁ、これから『やるぞ』と言っている様なものだから仕方ないか。


流石はプロ、場所を変え、素早く避妊紋を彫っていく。


これで安心だ。


さて、次はどうやって戦わせるか考えないとな……


本当に世話がやける。

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