のびのび新生活
「おう、お帰り。たらふく食ってきたか?」
わんわんと玉犬達がはしゃぎながら
どしゃあ、と土が枝の上に
海底の土砂は塩分が多く農作業に
人々は最初こそこの巨大な
そしてその玉犬達を
「豊……インカー様! これ神さんと司教の皆様で召しあがってください!」
「ホウって何だ? ……うわ、すごい量のニンジンじゃないか! こんなにもらってしまったらお前らの取り分がなくなるだろ。長命種はメシなんかほとんど無くても大丈夫なんだから、お前や家族と皆で分けろ」
「そんなこと言わんでくださいよ、もちろん私らの分もありますで! せっかく初めての
「そうかい、足りてるなら
インカーはお日様のような笑顔で喜び、人々はもうそれだけで祝福を得た気分になるのだった。
「インカーさん遅くなりました! お待たせしました〜」
水色のワンピースを着た女司教が駆けてくる。
「フィーちゃん! よく来てくれたね、……
「あっ、急いでて忘れてました……ん〜!」
彼女が頭を振ると、彼女の髪を濡らしていた水がぱらぱらっと吹きとび、周囲に
「どうせなのでこれも使いますね。それじゃ、いきますよー……それ!」
彼女が両腕を
「ん、じゅうぶんだ。それじゃ今日はあっちの
「はーい」
フィーネが水をあやつり指示された畑に水を
「毎日来てくれてありがとね、助かるよ。……ところで遅くなったのって」
インカーがたずねようとするとフィーネが
「あら、二人はここにいたんだ」
ふわりとサンリアが
「おお、サンちゃん。なかなか魔法少女も
「や、やめてよその呼び方……今の私は魔女
「なにが違うのか……
「あら、いいわね。アザレイも何とは言わずに連れてくわ」
サンリアが
人の世界はあの時から、とても
──────
ライサは青い空を
何が起こったのか彼には全く理解ができないまま、世界の
彼の人生の全てだった女から昔、お守りにともらっていた、
恐らくそれが、彼をあの恐ろしい
水の中に沈んでも、その周りだけは空気が保たれ、おかげでライサは
そして
しかし、彼の強運はそこまでのようだった。
何もない、海の上。食事どころか水分補給すら
海、という名前も知らないライサは、海水を飲みつづけてみたものの、そろそろなんらかの限界な気がしていた。
そこに。
『おい、見ろよルイ。
『イル。あれはどう見ても人でしょう、モノ
『金髪
『似ていますが……サラが
にぎやかな会話が聞こえてきたかと思うと、ライサはなにやらツルツルした弾力のある物体に乗りあげた。
『コレもあの神殿に運ぶ、でいいんだな?』
『そうするしかないでしょうね、今のところ。
『サラの連中は空の女神の
『さあ……ひとつだけ言えるのは、それだけ長い、長い時間が経ってしまったということでしょうか』
『やーっぱニンゲンはころころ入れかわって面白えなぁ!』
『イル、言葉は選びなさい。大精霊としての品格が
会話はのんきに続いていたが、あり得ないほどのスピードが出ているのを肌で感じたライサはおそるおそる目を開けた。
ツルツルの物体は生き物のようだった。
「
『おいコイツ言うに
『無知を
意識がはっきりしてきたライサは、どうやら自分を助けてくれたらしい生き物の機嫌を損ねつつあることを自覚し、慌てて首を振った。
「ごめんなさい、俺なんも知らなくて。あの、俺を助けてくれたのか、ですか、その……イルさんとルイさん?」
『おっ? お前聞く耳あったのかよ。おう、俺達はイルカルイ。気の良い大精霊様だぜ』
『海の民の
ライサは最後の単語にピンと来た。こないだまで共に暮らし、ライサの生き方を変えた唄神ルイネ。ライサ自身が調べなおして彼に伝承を教えた、その名は。
「ニーコリァ……空の民ニーコリァ?」
『うひょひょひょひょう!! 話が通じるとやはり嬉しいですねー! 私達が彼女を初めに助けたのですよ、そうあれは……』
『今はよせ、ルイ。そろそろ陸の神殿に着くぜ。おいお前、名前は』
「ライサ」
『ライサ。陸の乳母
『また会いましょう、
なぜ急に
すり
リンリスタン。
砂漠のオアシス都市だった、リンリスタンだ!
「ど、どうなってんだ、これ……!」
『陸の乳母の権能が大洪水から神殿を守っているようですよ。都市に生きのこりの人間がいます。きっと助けてくれるでしょう』
「……いや、ムリだ、俺、褐色
ライサは都で彼らが
『……ルイ』
『……分かっています。人はやはり
であれば、私達は今ひとたび王と共に。ライサ、太陽の髪色に褐色の肌は海の民の
イルカルイの体が水に
ざまあみろ、こっちはホンモノだぞ。
ライサは自然と笑顔になっていた。
炎の神の乳母、すなわち
その
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