挿話〜うつくしき男〜
その男は、
しかし、世界はもう半分あった。
しかたのないことではある。前の世界の誰も知らないことだったのだ。
基本的になんでも楽しんでいた男だったが、これにはさすがに
それならば、植物を育てるのはどうだろう? 短命種を
手はじめに、土を
空の神は短命種を守らんと降りてきた。
陸の異形は何も言わない。
彼の基準でも
どこから見つけてきたのか、短命種どもが彼を神と
「久しぶりだね」
大いなる者が
「お久しぶりです。私の管理に何か問題が?」
「いや、キミには問題ないよ。ほかの次元に問題が起きたんだ。いや、問題が起きたというより、決定的になった。この次元は、混ざる」
大いなる者がそう宣言すると、世界があちらこちらでひび割れ、そのひびから無数の知らない世界が突きだしてきた。
「これはいったい……?」
「ちょっと制御に失敗しちゃったんだ。悪いね。あ、でもここに来て安定したな。うん、この次元、もうこのままだから。引きつづき楽しんで」
「……そろそろ、
「えー、それは困るな。引きつぎ要員いる? いないでしょ。後継者が育つまで
「承知しました……」
大いなる者はうんうんとうなずくとかき消えた。男は溜息をついた。
「……後継者ァ? そんなもの、あなたが決めればすぐだろうに。」
いいように逃げられたな、と思う。しかしまあ、やることは変わらない。重なって増えた世界も平等に、緑で覆いつくそう。
「……つまらないな。」
いちおう、後継者とやらを作っておくべきか。彼は海の異形と陸の異形、それから空の異形の
宝石の形を変えて剣とする。そのうち二本は異形の卵に与える。残りの剣は駆除する者達に。さて、これがどう動くか。
「届いてくれよ……私に」
大樹から払いおとす。もう用はない。彼は再び眠りについた。
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