水の剣の主
『やめよ、コトノ。おぬしはあいかわらず人の心を知らん。今伝えるべきことはサレイのことではないじゃろう。夜の民の軍勢が来る。それで?』
『そうね。ごめんなさい、話が
「それって、もう水の剣の主は決まってるっていうこと?」
サンリアの言葉に、他の三人は我にかえった。水の剣の主が
『ええ、水の剣の主は生まれた時からのさだめ。彼女が次代の娘を産みそだてぬ限り、水の剣は彼女にしか振るえませぬ。彼女達の血筋は古くから
「どういうこと? 男の子だったらどうするの?」
『おのこになることはございません。また、産まれないということもございません。私が娘を選びあたえますので』
ヒュッとサンリアが息を
『というわけで、現巫女を呼んでまいりました。フィーネ、こちらへ』
呼ばれてプールから直立に浮かびあがってきたのは、レオンと同じくらいの年かさの少女だった。水の中から出てきたというのにいっさい
(やっぱり、人間とコトノ主の娘ってこと……? 代々って言ったわよね……)
サンリアは新しく仲間になる相手に作り笑いを浮かべながら、コトノ主への
フィーネは、礼儀正しくスカートの
「お
「音の剣オルファリコンの主、セルシアです。僕達は仲間になるんですから、敬語なんかなしで仲よくしてくださいね」
「風の剣ウィングレアスの主、サンリアよ。女の子が増えて嬉しいわ」
「雷の剣プラズマイドの主、クリスだよー。よろしくねー」
「グラードシャイン、あっ光の剣の主、レオンだ……です。よろしくです」
レオンがめちゃくちゃ緊張しているので、サンリアは
全然レオンのことは好きなタイプでも何でもないが、彼の
「セルシアさん、サンリアさん、クリスさん、リオンさん」
「レオンです」
「リ、ルレイ、レィーオン……リオンさん」
フィーネは何度かレオンの名前を練習したが、
「あ、あの、リオンでも、いいっす」
レオンが照れながらそう言うと、フィーネは少し微笑んだ。
「すみません、ありがとうございます」
その顔が見られてよかった、とサンリアは
『フィーネは宮で生まれそだちましたが、魔法と水の剣を用いた戦闘技術と、
コトノ主が自分の作品のようにフィーネを紹介したのでサンリアは呆れた。これがいわゆる神目線、というやつか。
「コトノ主様。フィーネは人間なんでしょ。見たところ私よりちょっと年上なくらい? レオンより上かしら? あのね、普通そのくらいの歳の子は、もっと
「主様を
フィーネから笑みが
『あらあら、大変!
「主様、ですが私、それは……」
『仲よくしなさい。それが私の望み』
「はい……」
フィーネがすっと
「私も二人に失礼なことを言ったわ。コトノ主様、フィーネ、ごめんなさい。あらためて言うけど仲よくしてね」
「ええ、こちらこそ、サンリアさん。喧嘩慣れはたしかにしていませんが、負けませんよ」
余裕のある笑みを浮かべて右手を差しだすサンリアと、無表情でその手を取るフィーネ。
『育て方をまちがえたかのう……』
『私もですわね……』
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