雷様のやり方
セルシアが去ったので、レオンは自室に戻りベッドにダイブした。
連日のトレーニングで、体が休息を求めている。しかし、食事を取らないと
「コール、ルームサービス、昨日と同じので」
ARに向かって呼びかける。
サンリアが考えてくれたトレーニング用ディナーメニュー。けっこうガッツリ系だが、誰かと話しながら食べれば苦ではなかった。でも今日は食べきれるだろうか。
コンコンコン、とノック音。レオンはもしかして、と
「今日も晩ごはん一緒に食べるでしょ?」
「ああうん、待ってた」
「あら、待たせた? ごめんね。セルシアは?」
「クリスと出かけたよ。数日帰ってこないってさ」
「へぇ、そうなんだ。なんの特訓かしら」
(少なくとも大会のための特訓ではないだろうな……)
レオンは出かける二人の
「今日は何してたんだ?」
「今日も調べ物よ。
雷様が、雷の剣プラズマイドを今回の大会の目玉に
っていうここまでが昨日までの話ね。覚えてる?」
「もちろん」
だがおさらいはありがたい。細かい話は何度もされないと忘れてしまいがちだ。
「よかった。で、今日の
「そんなことして平気なのか!?」
レオンは思わずテーブルに身を乗りだした。サンリアは動じない。
「結論から言うと、平気だったみたい。選ばれし者……誰が選んだ選ばれし者なのか、ずっと気になってたのだけど、どうやら長が選んだ者、というわけみたい。
雷様が選んだ者だから、その人は雷の剣を持てた。レオンのことは昔にレオンのお父様が選んだ。私のことはじーちゃんが。セルシアは、メイラエさんが。
長は、先代の長から
そしたら、分かるでしょ? 次代の長に選ばれるのは、かつて英として指名された者。先代の、選ばれし者……というわけよ。これが秘密を守りぬく手段だった」
「それじゃあ、この剣は昔父さんが使ってた剣……ってことか?」
「ううん、それも違うわ。本来剣は
「……け、消される?」
「消されてた。過去の大会のうち、何十年かに一度のペースなのだけど、過去何度も優勝者はたしかに雷の剣を
「消されてたっぽい……ってことか……」
「そう。そして人が消えていることは、こんなに簡単に
……この世界は雷様の世界だわ、だからあの人が何をしようと
サンリアは
「あっ、ごめんね!? こんな話したらごはんも美味しくなくなるか」
「え、ああいや、大丈夫大丈夫……。食べる食べる、へへ」
レオンはサンリアに気を
サンリアにとっては村を出るいい
だが、ここに来てその使命のために、彼女の価値観の中でダメなことをしている者が現れた。もちろん相手は神様だから、彼のつくりあげた街だから、そしてクリス達はそれを承知で住んでいるのだから、ただの旅人である彼女に口出しをする権利はないと
半人半神というなら、人をなぞって生きればいいのに。
(レオンみたいなマトモなやつが神様ならいいのにね……)
そう思った瞬間、目の前の少年は思いっきりむせて鼻に入った!と騒ぎだし、レオンは神様なんてがらじゃないわね、と彼女は心の中で微笑んだ。
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