砂の世界
朝から吹き
〈それ〉は、空を飛び、白い色が見えやしないかと探していた。赤砂と青空の色が目に痛く、〈それ〉は何度も目を閉じる。
一人の青年が〈それ〉を見つけ、
赤いポニーテールがトレードマークの背の高い女が、仕事のためにガラス
そんな
「ロロ、リリ、ミミ、クク、ココ、テテ、モモ」
彼女が
「ノノさんとこ、行こうな」
彼女はそう言って歩き出した。仔犬達ははしゃぎながらついてくる。ノノとは、彼らの母親だ。
戸を開けると、
「わぁ……初めて見るな、その
彼女がハシバミ色の目をみはりながらそう言うと、ノノは
彼女は
「
ノノが彼女より大きい頭を寄せてきたので
その時、人が走ってくる足音が聞こえた。
「インカー! お
「うん、そうなんだ。四次成長。こんなの初めて」
「ひゃあ、カッコいい……っじゃなくて! お兆しだよ!!」
「そうだった!」
玉犬達をやって来た
前回のお兆しは、仔犬達の誕生の時だった。
〈七つの命を神の
直後に生まれたのが七匹の仔犬だったので、二度の
インカーが目当てのテントに
「あ、インカーちゃん来たね」
「お兆し、なんて!?」
「さぁ、いつもお兆しの言葉は分かりにくいねぇ。
〈
だってさ」
「……!?」
この街にわざわざお兆しが来るのだから、御遣いと言えば玉犬だろう。玉犬が炎に転じるとは、どういうことだ? インカーはついさっき四次成長したノノのことを考えた。ノノはこれからどう成長するのだろう。それとも、ノノではなく仔犬達だろうか。
「んん〜、分かんないな……とりあえず玉犬達に助けが必要そうならいつでも対応するけど…」
「
インカーは
犬飼は彼女の
仕事を終えてインカーが帰宅すると、
「お帰り、インカー!」
「ああライサ、いたのか。ただいま」
「へへーん、今日は上がりが良かったからツキの目が変わる前に帰ってきた」
「相変わらずだなぁお前……」
呆れたようにインカーはライサを
「話変わるけどさ、カーちゃんは
「何それ、どっちもいらないよ。
「似合うやつ選ぶって!」
「仕事のジャマになるからいい」
「ジャマにならないやつ……」
「いいよ、どうせ
「……そか」
ライサの肩が力なくしおれる。
インカーは、犬飼であること以外に、自分の価値があると思っていなかった。だからこそ、彼女自身に向けられる好意にはなかなか気付けない。
そんな彼女の心に火を付ける男とは、ここから数ヶ月後に出会うことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます