雲の世界
世界中で一番幸福な国にも、
彼は自室に引きこもり、コンピュータ
(……これが、完成すれば、僕は)
七色のラインが入った半球型のコントローラデバイスの上を彼の白く細い右手指が
「……リノちゃーん、ハピバー」
彼の後ろから
リノが青年を見上げる。口はムスッとへの字に
「五月どころか六月になりそうだよ~! 気付いて! ほら! 俺の
リノの
リノはその指先をチラッと確認すると、
「あの……お
青年がおずおずと口を開き、
「
……青年の一人
「あんま強い酒は
リノが作業を再開しながら青年に〈声〉を
「分かってるよー」
青年の方はリノの
間もなくリノの自室にバースデーケーキとシャンパンの出前が届く。リノはそれを
「
「去年のリノちゃんは喜んでくれたのに……」
「そうだっけなぁ。とりあえず、はい」
リノが部屋の
「ちゃんと俺の分もある!」
「当たり前だろ、僕を何だと思ってんだよ」
「えっ、天使?」
「気持ち悪っ」
リノが
「
「誕生日おめでとう、クリス」
この五月。リノは十七歳、クリスは十九歳になった。
それを、ここから、
リノは
「ねえ、
「ああ、そうだな」
げに美しき〈
「リノ、帰ってこなかったわねぇ」
「この前会ったばかりだろう。それに、クリスと二人の方があの子も幸せそうだ」
「それは、ええ、それで良いのだけど……」
「……もうすぐ、さらぬ
「……カミナ。それって、どういうこと?」
「
女はハッとして男の顔を見た。
「……それじゃあ……
女は自分の息子を
「……お前にも、辛い思いをさせる」
「
「リンス……お前も、あの子達も、俺の
「知っているわ。私の
人は、人無しでは生きられない。
それを
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