一筋の光…肆…
夜の世界
ヘルムに
やがて右手
「
声も明らかに十代の若者のもの。
その声に答えて別の低くよく通る声が中から聞こえた。
「アザレイ・シュヴァルツ。入れ」
「はッ」
その騎士アザレイは、さっと頭を上げると広間の中に入って行った。
広間は
それはこの国の、この世界の王ただ一人の為の私的な
アザレイは
「
「……」
「……」
「……ふっ。
「お
「誉めとらんぞ。相変わらず仕方のない奴だ……親の顔が見たいものだ」
「
「ええい、冗談だ。勿論毎日の様に会っておるわ、シュヴァルツ団長にも
「……」
「彼女の息子であるから余計に仕方のない奴だというのだ」
国王と呼ばれた男は、ふ、と短い溜息を一つ
だからといってこのカードを
「……さて、今回の用だが……
「
「
「は。では、十名を選出し……」
「其処元一人で行ってくれ」
「……?」
「剣の仲間が動き始めたらしい」
「……某は、陛下の
暫く押し黙った後、アザレイは低い声で、だが力強くそう明言した。
「無論その心配はしておらん。ただ、つまりそういう事であるから、何も知らぬ一般の兵は参加出来ん」
「
「
「
退室すると、アザレイはヘルムを外した。さらりと細かい黒髪がマントの上で
「アザレイ? もう終わったの?」
「っ、姫様」
彼は声を掛けてきた相手に対して
「またそうやって! 昔みたいにハルディリアって呼び捨てにしなさいよ」
「出来かねます」
「全く……大魔導師様はあんなに
「
「
ハルディリアは不満そうにフンと短く
「まぁ良いわ、それより見て!
ハルディリアが
派手だし、
アザレイは
「よくお似合いです」
「綺麗かどうかを聞いているのだけど」
「
「……ふぅん。じゃ、
そう言うが早いか、王女は
「……。」
アザレイの心が痛む。いつもハルディリアの行いに振り回される
「アザレイが綺麗か分からないなら、私が身に付けるに
「……姫様。失礼致しました」
「ええ、本当に。台無しよ……これ、あげるわ」
「今、私がここでお前に
「そ……うかもしれませんが、こんなに
「あぁ……不正解よ。ホント、アザレイって……」
アザレイは顔を伏せて
「もう良いわ。私、お父様にご用事があるの。下がりなさい」
「はっ」
更に深く頭を下げるアザレイを丸きり無視してハルディリアは
綺麗だとは、思う。
だが、手に取りたいとは思わなかった。
(姫様……ハルディリア。
剣を
アザレイの
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