祝福の交換
祝福を交換する、というのは、この世界ではともに
本来なら祝福を交換、というだけあって、
セルシアの
それはたった一度の宴会とはつりあうはずもなかったので、むしろ逆に気にしており、しかしすなおにそれを口にする男ではなかった。
かつてメイラエであった
あのまま怪物として
セルシアは、宴の席では
飲み食いのあいまあいまに
背後で、それじゃあ飲みくらべする人ー!なんて
「レオン君。剣を忘れてますよ」
セルシアが後から出てきて、
「お、おう、けん? たしかに。おいてきた」
「大丈夫ですか?
「……え、こわ……ちょっと酔いがさめました」
「良かったです。……君はホント、平和な世界から来たんだね……」
「そうだなー。基本的にケーサツがちゃんとしてるから、そんな
「ハジキ? うーん、確かに聞いたことのない単語ですね」
「あー、同じ物がないと、
うなずきながら、何でそんなヤクザ用語が翻訳に選ばれたのだろう、とちょっと気になるレオン。この街の
「銃は飛び道具で、めちゃくちゃ簡単に人を殺せる武器。で、しかも弱い人でも体をきたえる必要なしにあつかえるから、たとえばこないだのアルソエなんかが持ってたら、俺もセルシアもへたすりゃ一発で
「うわぁ……」
セルシアは
「これから行く世界に、そういう最悪
とむずかしい顔をしてレオンのとなりに座り、考えこむようすだった。
「そうだな、魔法とか使われたら俺、全然ついていけないし。本とか漫画とかゲームの世界だし。この剣が俺にあつかえる魔法なんだったら、カツヨーホーホーをいろいろカンガエテ……むーん……」
「……僕もいいアイディアを思いついたら教えてあげますね……」
セルシアは気の
「あれ、そういえば、旅に出る決心はついてるのか?」
「え? それはもう、とっくの昔についてますよ。オルファリコンを手にした時から。言いませんでしたっけ?」
「はっきりと確認してはなかった気がするけど。でも、すげーな」
レオンは思わず正直な感想を
「いや、俺は。ぜんぜん実感
世界を、救う? この白い不思議な剣一本で?
しかも、この剣は本来のかたちじゃない、らしい。それって、俺はこの剣の本当の持ち主じゃないんじゃないか?
そういう気持ちがずっとあった。メイラエさんとの戦いのときまでは。
でもあのとき、俺がこの剣を使う、この剣の光の力を使って、メイラエさんの闇をはらうんだってはっきり考えた。そうしたら、サレイ母さんの形見が、俺の宝物が、この剣にくっついて離れなくなったんだ。
だからもう、手ばなせない。この剣に、この旅に意味があるんなら、それで身内が助かるんなら、やりとげるしかない。
そういう気持ちなんだ、今。俺が世界を救ってやるんだ!とかじゃなくて。
だから、セルシアが世界を救う旅に出るって決心がついてるの、すげーな、って」
レオンがとつとつと話すのを、セルシアは黙って聞いていた。が、ややあって首を横に振った。
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